審決取消請求事件

事件の基本情報

裁判所知的財産高等裁判所
事件番号平成28(行ケ)10154
判決日2017-05-30
分類知的財産 / 特許
判決種別判決
判決文が挙げた条文特許法126条1項2号

この事件の代理人

争点(判決文より)

争点は,①誤記の
訂正を目的とするもの(特許法126条1項2号)に当たるか,②新規事項追加(同
条5項)に当たるかである。
1 特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「マキサカルシトール中間体およびその製造方法」とする
特許(特許第5563324号。以下「本件特許」という。)の特許権者である。本
件特許は,平成22年2月3日(以下「本件出願日」という。)に出願され(特願2
010-22200号),平成26年6月20日に設定登録されたものである(請求
項の数7。以下,本件特許の請求項1~7に係る発明をまとめて「本件発明」とい
い,本件特許の明細書及び図面(甲19)を「本件明細書」という。)。(甲19)
原告は,平成27年11月17日,明細書の訂正を求めて訂正審判請求(訂正2
015-390128号。甲20。以下「本件訂正」という。)をしたが,特許庁は,
平成28年3月8日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄
本は,同月17日,原告に送達された。
2 本件訂正の訂正事項(甲20)
明細書【0034】の「EAC(酢酸エチル,804ml,7.28mol)」と
いう記載を「EAC(アクリル酸エチル,804ml,7.28mol)」という記
載に訂正する(以下「本件訂正事項」という。)。
3 審決の理由の要点
(1) 目的要件について
ア 明細書の誤記を目的とする訂正が認められるためには,特許がされた明
細書の記載に誤記が存在し,それ自体で又は図面の他の記載との関係で,誤りであ
ることが明らかであり,かつ正しい記載が願書に最初に添付した明細書,特許請求
の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)から自明な事項として定まる必要
- 2 -
がある。
イ 本件訂正事項についてみると,【0034】の「EAC(酢酸エチル,8
04ml,7.28mol)」という記載に,一見して誤りが存在することは理解で
きず,関係する他の明細書の[合成例4]の記載や図1との関係をみても,酢酸エ
チルという化合物名やEACという略称の表記は一致していて,明らかな誤記が存
在するとはいえない。
ウ 請求人(原告)は,【0034】の[化14]に記載された化合物(3)
及び化合物(4)の化学構造に誤りがないことを化合物(5)のNMRによる確認
と図1の表記との一致を根拠に説明した上で,[化14]のスキームに記載されてい
る化合物の働きを推測し,【0034】の反応の種類を推測し,そのような反応であ
るという前提で,酢酸エチルの生成物を推測し,化合物(4)が得られないので,
「酢酸エチル」が誤記であることが当業者に一見して明らかであると主張する。
しかしながら,化合物(3)や化合物(4)の化学構造に誤りがある可能性は,
酢酸エチルという化合物名の誤りと同等に存在すると考えるべ

主文(判決文より)

1 特許庁が訂正2015-390128号事件について平成28年3月
8日にした審決を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。