事件の基本情報
| 裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成29(ネ)10034 |
| 判決日 | 2017-07-11 |
| 分類 | 知的財産 / 特許 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 特許法100条1項 |
| 当事者 | 被控訴人 ナガセ医藥品株式会社/参加人 日本ケミファ株式会社 |
この事件の代理人
争点(判決文より)
争点(1)(技術的範囲への属否)について 〔控訴人の主張〕 本件各発明の「緩衝剤」は,外部から添加されたシュウ酸に限定されるものでは なく,解離シュウ酸も含まれる。 - 3 - ア 特許請求の範囲の用語の解釈 特許請求の範囲の用語は,明細書中に明確に定義されている場合には,これによ って解釈されなければならない。 (ア) 本件明細書において,「緩衝剤」は,「緩衝剤という用語は,オキサリプ ラチン溶液を安定化し,それにより望ましくない不純物,例えばジアクオDACH プラチンおよびジアクオDACHプラチン二量体の生成を防止するかまたは遅延さ せ得るあらゆる酸性または塩基性剤を意味する」(【0022】),「緩衝剤は, 有効安定化量で本発明の組成物中に存在する。緩衝剤は,約5×10-5M ~約1 ×10-2Mの範囲のモル濃度で,好ましくは約5×10-5M~5×10-3Mの範囲 のモル濃度で,さらに好ましくは約5×10-5M~約2×10-3Mの範囲のモル濃 度で,最も好ましくは約1×10-4M~約2×10-3Mの範囲のモル濃度で,特に 約1×10-4M~約5×10-4Mの範囲のモル濃度で,特に約2×10-4M~約4 ×10-4Mの範囲のモル濃度で存在するのが便利である」(【0023】)と具体 的に定義されている。これらの定義によれば,「緩衝剤」は,本件各発明の対象で ある「オキサリプラチン溶液組成物」において,一定のモル濃度で「存在」するも のであり,不純物の生成を防止,遅延するあらゆる酸性又は塩基性剤を意味するも のであるから,外部から付加したシュウ酸と解離したシュウ酸は,「緩衝剤」の該 当性において,区別されることはない。 (イ) そもそも,本件各発明は,オキサリプラチン溶液の安定化という課題を「緩 衝剤」であるシュウ酸のモル濃度を一定範囲にすることにより達成するものであり, このような発明の課題,作用効果という観点からすると,添加シュウ酸であろうと 解離シュウ酸であろうと,オキサリプラチン溶液に存在する全てのシュウ酸によっ て,オキサリプラチン溶液の安定化という作用効果がもたらされる。上記の定義規 定はこれに対応した明確なものであるし,技術常識にもかなう。 イ 請求項の文言 本件特許の特許請求の範囲請求項10~14には,緩衝剤を「付加」,「混合」 - 4 - することが規定されているのに対し,請求項1では「包含」と規定され,意識的に 書き分けられている。したがって,本件各発明の「緩衝剤」は,「付加」等された ものに限定されない。 ウ 乙3発明との関係 (ア) 本件明細書【0022】の定義には,従来既知の水性組成物と比較して, 不純物を減少させるとの効果を有するものとは記載されていない。 (イ) 本件明細書において問題とされているのは,オキサリプラチンが時間を追
主文(判決文より)
1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は控訴人の 負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を 30日と定める。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。