貸金請求控訴事件

事件の基本情報

裁判所名古屋高等裁判所
事件番号平成26(ネ)148
判決日2014-09-18
分類高裁
判決種別判決
判決文が挙げた条文民法28条、民法103条、民法921条1号

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点及びこれに関する当事者の主張
次のとおり当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決「事実及び
理由」欄の「第2 事案の概要」の「2 争点」に記載のとおりであるから,
これを引用する(ただし,本件相続財産の主張部分は除く。)。
(1) 当審における控訴人Aの主張
ア 本件不在者財産管理人に単純承認を行う権限がなく,したがって本件売
却処分の効力が控訴人Aに帰属しないこと
不在者財産管理人の権限は,民法103条所定の権限のみであり,その
範囲を超える行為については家庭裁判所の許可が必要である(民法28条
前段)。そして,不在者財産管理人制度は,不在者の利益擁護のための制
度であることから,成年後見人のように包括的な権利を有さず,財産管理
権があるにすぎないから,不在者財産管理人は,行使上の一身専属的で代
理になじまない権利に関しては権限を有しない。
相続人の意思によって一応生じた相続の効果を否定する相続放棄は,行
使上の一身専属的な権利であるため,不在者財産管理人は家庭裁判所の許
可なくこれを行うことができないと解される。
同様に,相続人の意思によって一応生じた相続の効果の全部又は一部を
確定させる相続承認もまた,行使上の一身専属的権利である点で相続放棄
と異ならないのであるから,不在者財産管理人は家庭裁判所の許可なくし
て相続承認を行うことはできない。
そのため,不在者財産管理人が不在者のために相続承認を行う場合には,
財産行為について家庭裁判所の権限外行為許可を受けていたとしても,こ
れとは別に身分行為としての相続承認について家庭裁判所の権限外行為許
可を得る必要がある。
本件売却処分は,亡Bの相続財産の一部の「処分」(民法921条1
号)に当たるところ,本件不在者財産管理人は,本件売却処分という財産
行為自体についてはa家庭裁判所の権限外行為許可を得たものの,身分行
為としての相続承認について家庭裁判所の許可を得ていない。
したがって,本件不在者財産管理人の行った本件売却処分によっても控
訴人Aに法定単純承認の効力は生じない。
なお,不在者財産管理人が不在者の相続の承認を行うには家庭裁判所の
許可を不要とする見解はあるが,これは,相続の承認が通常価値増加的な
ものであることを理由とするものであり,本件売却処分が単純承認の効力
を生じることによって亡Bの債務超過の状態を控訴人Aに引き継がせると
いう価値減少的な行為であることからすれば,本件売却処分は家庭裁判所
の許可を要すると解するべきである。
イ 錯誤無効
仮に,不在者財産管理人が家庭裁判所の許可なくして相続承認ができる
としても,本件不在者財産管理人は,本件売却処分を行った平成13年5
月当時,被控訴人の亡Bに対する本件貸金の存在を認識しておらず,亡B
の消極財産は,P信用金庫に対する債務のみ

主文(判決文より)

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は,控訴人Aの負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。