事件の基本情報
| 裁判所 | 名古屋高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成26(ネ)842 |
| 判決日 | 2015-01-29 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点及び争点に関する当事者の主張は,3のとおり各当事者の当 審における補充主張を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事 案の概要」の1ないし3に記載するとおりであるから,これを引用する。 3(1) 控訴人の当審における補充主張 ア 振込制度には組戻制度があり,被仕向金融機関は,組戻しの要請があれ ばこれと矛盾する行動を取ることは許されない。しかし,被仕向金融機関 は,受取人の口座への入金を最初に知り得る立場にあるのであるから,振 込依頼人が誤振込みに気付いて組戻しの要請をする前に受取人に対して貸 金債権等を有する被仕向金融機関による相殺がされると,常に振込依頼人 の犠牲の下に被仕向金融機関が保護される結果となる。これは,組戻制度 を否定することと同じであり,振込制度の一員である被仕向金融機関に, 誤振込みをした振込依頼人との関係で,上記のような優先的地位が認めら れるべきではない。したがって,誤振込みをした控訴人との関係で,被仕 向金融機関である被控訴人が受取人に対する自働債権をもって,受取人の 預金債権と相殺することは許されないというべきである。 イ また,アの事情は,本件相殺を認めることが正義,公平の観念に照らし て相当でないとする特段の事情に当たるというべきである。控訴人は,債 務超過の状況にあるA組から本件振込金相当額を回収することはできない のに対し,控訴人のAに対する請負代金債務はそのまま残っているのであ る。そうすると,控訴人がA組に対し本件振込金相当額の不当利得返還請 求権を有していることは経済的には無意味であるのに対し,被控訴人は, 誤振込みである本件振込みを奇貨として,本来回収不能であるA組に対す る貸金債権等を回収できることになる。控訴人がA組に対し本件振込金相 当額の不当利得返還請求権を有することをもって,上記特段の事情がない ということはできない。 (2) 被控訴人の当審における補充主張 ア 被控訴人は,本件相殺の時点において,本件振込みが誤振込みであると は認識していなかった。被控訴人は,控訴人から平成24年5月7日に連 絡を受けたが,その時点においても,控訴人がAとA組とを同一事業体と 考えて本件振込みをしたのであって誤振込みではないと考えていた。 イ 本件において,振込依頼人である控訴人と受取人であるA組との間に振 込みの原因となる法律関係が存在するか否かにかかわらず,A組と被控訴 人間には振込金相当額の普通預金契約が成立し,A組は,被控訴人に対し, 同金額相当の普通預金債権を取得する。被控訴人は,かかる有効に成立し たA組の被控訴人に対する預金債権と被控訴人のA組に対する貸金債権等 を本件振込みのあった日に相殺したものであり,この相殺の法的効果を妨 げるような正義,公平に反する事情は認められない。
主文(判決文より)
1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,控訴人に対し,330万1039円及びこれに対する平 成24年5月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払 え。 3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 4 この判決は,2項に限り,仮に執行することができる。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。