危険運転致死傷 予備的訴因 過失運転致死傷被告事件

事件の基本情報

裁判所名古屋高等裁判所
事件番号令和2(う)195
判決日2021-02-12
分類高裁
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点として,① そのような特別な状況を進行制御困難
性の判断要素とすることが許されるか,② 許されるとして被告人に故
意(物理的な意味での進行制御困難性が生ずる状況の認識・予見)があ
ったかの2点が設定された。なお,争点①は,進行制御困難性の判断要
素としてこれまでの実務で指摘されている車両速度,車両の構造・性能,
道路の状況(道路の形状,路面の状況等)等の「道路の状況」という要
素の中に,他の走行車両の存在を含ませることができるか,という法解
釈の問題が前提となっている。
原判決は,争点①について,駐車車両や他の走行車両も,その存在
に応じて被告人車両の進路の幅が狭められるなどの客観的状況がある
以上は道路の物理的な形状と同視でき,殊更別異に解すべき理由はな
いとして,他の走行車両も「道路の状況」という要素に含まれるとの
解釈に立ち,他の車両の存在により被告人車両の通過できる進路の幅
やルートが制限されたという特別な状況を進行制御困難性の判断要素
とすることが許されるとした。その上で,被害車両を含む他の走行車
両の存在によって被告人車両が進行できる幅やルートが限定されたと
認定し,幅やルートが限定されたそのような進路を時速約146㎞も
の高速度で進行させることは極めて困難であったとして被告人の行為
が進行制御困難高速度での走行に該当するとした。
他方で,争点②について,被告人に法2条2号所定の故意があったと
認定するには合理的疑いが残るとして主位的訴因である危険運転致死
傷罪の成立を否定し,予備的訴因である過失運転致死傷罪の成立を認
めるにとどめ,同罪が定める最高刑である懲役7年を言い渡した。
第2 検察官控訴について
1 検察官の論旨
所論は,争点①を肯定した原判決を前提に,被告人には危険運転致死傷
罪の故意が優に認められるのに,故意の解釈及び認定方法を誤り,論理
則,経験則等に反する判断を重ねた結果,故意は認められないとの判断に
至った争点②の原判決の結論には事実の誤認があり,これが判決に影響
を及ぼすことは明らかであるという。
2 当裁判所の結論
当裁判所は,そもそも原判決が争点①で示した法2条2号の解釈それ
自体を支持することができず,この誤った解釈を前提に被告人の行為が
法2条2号に該当すると認定した原判決には事実の誤認があるものの,
争点②で主位的訴因である危険運転致死傷罪の故意を認めず予備的訴因
である過失運転致死傷罪の成立を認めるにとどめた結論自体は正当であ
り,結局,原判決の誤りは判決に影響を及ぼすことが明らかではないと
判断した。以下,理由を述べる。
3 法2条2号の法解釈について
所論は,法2条2号の解釈について,進行制御困難性の判断要素の
一つである「道路の状況」には,道路自体の物理的形状だけでなく,道
路上に存在する駐車車両

主文(判決文より)

本件各控訴を棄却する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。