事件の基本情報
| 裁判所 | 最高裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 昭和61(オ)943 |
| 分類 | 最高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点をなすとともに、それが宗教上の教義、信仰の内容に深くかかわっ ているため、右教義、信仰の内容に立ち入ることなくしてその効力の有無を判断す ることができず、しかも、その判断が訴訟の帰趨を左右する必要不可欠のものであ る場合には、右訴訟は、その実質において法令の適用による終局的解決に適しない ものとして、裁判所法三条にいう「法律上の争訟」に当たらないというべきである (前記昭和五六年四月七日第三小法廷判決参照)。 三 これを本件についてみるに、原審の認定するところによれば、要するに、D の内部においてEを巡って教義、信仰ないし宗教活動に関する深刻な対立が生じ、 その紛争の過程においてされた被上告人の言説がDの本尊観及び血脈相承に関する 教義及び信仰を否定する異説であるとして、Dの管長Fが責任役員会の議決に基づ いて被上告人を訓戒したが、被上告人が所説を改める意思のないことを明らかにし たことから、宗規所定の手続を経たうえ、昭和五六年二月九日付宣告書をもって、 被上告人を宗規二四九条四号所定の「本宗の法規に違反し、異説を唱え、訓戒を受 けても改めない者」に該当するものとして、本件擯斥処分に付した、というのであ - 3 - り、原審の右認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして、首肯するに足りる。 そして、本件においては、被上告人が本件擯斥処分によってDの僧侶たる地位を 喪失したのに伴いA寺の住職たる地位ひいては上告人の代表役員及び責任役員たる 地位を失ったかどうか、すなわち本件擯斥処分の効力の有無が本件建物の明渡を求 める上告人の請求の前提をなし、その効力の有無が帰するところ本件紛争の本質的 争点をなすとともに、その効力についての判断が本件訴訟の帰趨を左右する必要不 可欠のものであるところ、その判断をするについては、被上告人に対する懲戒事由 の存否、すなわち被上告人の前記言説がDの本尊観及び血脈相承に関する教義及び 信仰を否定する異説に当たるかどうかの判断が不可欠であるが、右の点は、単なる 経済的又は市民的社会事象とは全く異質のものであり、Dの教義、信仰と深くかか わっているため、右教義、信仰の内容に立ち入ることなくして判断することのでき ない性質のものであるから、結局、本件訴訟の本質的争点である本件擯斥処分の効 力の有無については裁判所の審理判断が許されないものというべきであり、裁判所 が、上告人ないしDの主張、判断に従って被上告人の言説を「異説」であるとして 本件擯斥処分を有効なものと判断することも、宗教上の教義、信仰に関する事項に ついて審判権を有せず、これらの事項にかかわる紛議について厳に中立を保つべき 裁判所として、到底許されないところである。したがって、本件訴訟は、その実質 において法令の適用により終局的に解決することができないものといわざるを得ず、
主文(判決文より)
本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。