事件の基本情報
| 裁判所 | 大阪高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成29(う)547 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
争点(判決文より)
争点は情状及び量刑であるとの争点整理の結 果がまとめられた。 原審第1回公判期日(平成29年3月6日),被告人は,公訴事実についての 意見として,「違います。全部違います。」などと陳述したが,直後に原審弁護人の 求めで一時休廷となり,原審弁護人と打ち合わせを経ての再開後には「(被告事件を) 認めます。」と陳述し,原審弁護人は,被告人と同様であるとしながら,心神耗弱状 態であったことを主張した。原審第3回公判期日(同月9日)での被告人質問にお いて,原審弁護人から,被害者を殺したことは間違いないかと問われると,被告人 は,「やってません。」「この前ももっと罪重くなるよて言われたんで認めただけで す。」「若干,脅迫,怖かったから認めた。」などと供述した。しかし,原審第4回公 判期日(同月13日)の被告人質問では,被害者を殺害したことを認め,被害者を 捕まえ,持っていた刃物でその身体を刺して殺害したことなどを供述した。 原審第5回公判期日(平成29年3月15日)には,起訴前に被告人の精神 鑑定を行ったB医師の証人尋問が行われた。 同医師の原審証言(以下「B鑑定」という。)の要旨は,以下のとおりである。 被告人は,中学2年生であったころから,関係妄想を特徴とする妄想や,当たり 前のことを当たり前と受け止められない一種の思考障害などの精神障害が認められ るようになり,これに伴って明るい人柄から内向的へと性格が変化し,社会から引 きこもる傾向が生じている。被告人の症状からみると,統合失調症または妄想性障 害と考えられるが,両者の鑑別を行うには今後の経過観察が必要になる。広汎性発 達障害や知的障害は否定される。 被告人は,平成26年10月頃から近隣に住む被害者とその兄の言動に関心を持 つようになり,平成27年1月頃には,両名が自転車に乗って棒を振り回している のを認めて,自分への嫌がらせである旨の被害妄想を抱くに至り,被告人は,被害 者兄弟から叩かれるなどするとの危険を感じて追いかけるなどの行動に出るように なった。被告人の被害妄想の対象は,被害者兄弟以外にも拡散していき,本件犯行 の約5日前には,被害者兄弟や近所の別の家族を名指しして,「違反者と思われる人」 として入国管理局に通報した。この通報からは,被告人の被害妄想が確信的である ことや,それに対する対応策を考える自由はあるものの,その思考には一定のまと まりの悪さがあることがうかがえる。 被告人は,初回の鑑定面接では本件犯行の動機に関して,「棒を振ってたから殺し ただけ」「あんなんに殴られたら嫌やなと(思った)」「(被害者が)うっとうしかっ た」などと述べたが,2回目以降の面接では犯行自体を否認したため,それ以上の 説明は得られなかった。 状況からみると,犯行動機の中核には,被害者に対する被害妄想があると考えら れ
主文(判決文より)
原判決を破棄する。 被告人を懲役16年に処する。 原審における未決勾留日数中500日をその刑に算入する。 押収してある鉈様の刃物1本を没収する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。