事件の基本情報
| 裁判所 | 大阪高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成29(う)1278 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
争点(判決文より)
争点は,被告人が, Bの頭部に強い衝撃を与える何らかの暴行を加えたか否かであるとした。 そして,審理の結果,硬膜下血腫,脳浮腫,網膜出血が生じた機序が,頭部を揺 さぶられるなどして回転性の外力が加わることにより生じたもの,いわゆるSBS (Shaken Baby Syndrome,揺さぶられっ子症候群)であるとされ(このように診断す る考え方を,ひとまず「SBS理論」と呼ぶことにする。),これを前提に,Bが 受傷した時間帯に,Bと一緒にいてBにそのような外力を加えられた(加害行為) 可能性がある者は,被告人とBの姉(当時2歳2か月)のみであり,Bの姉による 加害が否定される以上,本件の犯人は被告人以外にはいないと認定した。すなわち, Bの症状が,SBS理論により,回転性の相当強い程度の外力によるものとされ, それを前提に,その時間帯に,そのような外力を加えることが可能な者を消去法的 に特定すると,犯人は被告人しかいないというのである。 3 原審の審理の概要 原判決の判断構造が,前記のようなものになった経過として,原審の審理の概要 をみておく。 本件は,裁判員裁判対象事件であり,前記公訴事実を巡り,公判前整理手続にお いて,主張と証拠の整理が行われた。 原審弁護人は,当初から,被告人はBに対して何らの暴行を加えていないとして, 公訴事実を争っていた。そして,公判前整理手続の初期段階においては,Bの症状 の原因がSBSによるとの原審検察官の主張についても,専門医に当たって検討し た形跡がうかがわれる。しかし,その結果,Bの症状が外力によるものであること については争わないということになった。原審弁護人は,いわゆる犯人性のみを争 - 2 - い,これに付加して,高齢者である被告人の体格や体力からすると,検察官が主張 する,頭部を揺さぶるか又はそれと同程度の急加減速をかけるという外力を加える ことは極めて困難であること,被告人以外の者による犯行可能性として,Bの姉が, Bの髪の毛を掴んで上下に揺さぶるなどしていたこと,公訴事実記載の時間帯に被 告人がBに暴行を加える状況はなく,被告人には動機もないことなどを主張した。 これらを受け,原審裁判所は,前述したように争点を整理し,これに沿って公判 廷において,書証,人証が取り調べられた。その中には,小児科を専門とするC医 師(以下,医師の名は,2回目以降は姓で特定し,その公判供述は「○○証言」の ように記載する。)や法医学の教授であるD医師の証人尋問も含まれていた。 4 原判決の内容 原判決が認定した罪となるべき事実の要旨は,本件公訴事実と同旨である。 原判決は,C医師及びD医師の各供述等に依拠して,①Bは,急性硬膜下血腫, 多発性のくも膜下出血,びまん性脳損傷に続発した脳浮腫,両目の広範囲にわたる 多発多層性網膜出血等の
主文(判決文より)
原判決を破棄する。 被告人は無罪。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。