事件の基本情報
| 裁判所 | 大阪高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成29(う)501 |
| 判決日 | 2020-01-27 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
争点(判決文より)
争点は,本件犯行を行っ た犯人が被告人であるか,被告人が行ったとなれば,その責任能力であると整理し - 2 - た(なお,原審弁護人は,当審における所論と同様に,被告人の殺意は「ブレイン ジャック」により植え付けられたものであるとか,「精神工学兵器」による被害者 一家らの攻撃に対する反撃としてなされたものであるなどとの主張もしたが,あえ て争点化はされなかった。)。 本件では,原判示の犯行を被告人が行ったことは,原審において被告人自身が認 め,かつ,その他の証拠によっても十分認定でき,原判決もその趣旨を認定・説示 している。もっとも,原判決は,争点として整理されなかった点についても検討を 加えている。すなわち,被告人が,精神工学兵器を用いて特定の感情・思考を植え 付けるブレインジャックによって,強制的に殺意を植え付けられたとの主張に対し ては,次のように判断している。ブレインジャックといわれるような技術が存在す るとしても,被告人に対してそのような技術が使用されたことをうかがわせる事情 はないし,被告人に対し,そのような技術を用いて殺意を植え付ける理由も想定し 難い。被告人がブレインジャックされた根拠として述べる事実は,原審で取り調べ た鑑定人らによれば,被告人の罹患している薬剤性精神病の症状として説明が付く。 また,被告人の本件犯行が,被害者一家らが工作員として行っていた精神工学兵器 による攻撃に対する反撃であるとの趣旨の主張についても,同様に,被害者一家ら が工作員であることや被告人に対して精神工学兵器による攻撃が行われていること をうかがわせる事情は全くなく,被告人がそのような兵器を用いた攻撃の対象とな る理由も想定し難く,被告人がこの点の根拠として述べる点は,薬剤性精神病の症 状として説明が付くとして,排斥している。さらに,正当防衛や緊急避難について も,被害者一家らによる急迫不正の侵害や現在の危難はないから成立する余地はな いとしている。 原審は,本件の主たる争点といえる被告人の責任能力について,起訴前に被 告人を鑑定した医師,原審で被告人の鑑定(いわゆる50条鑑定。口頭鑑定の方法 による。)を担当した医師(以下「原審鑑定人」という。)を公判廷で取り調べた。 そして,原判決は,概ね原審鑑定人の鑑定の結果に沿って,犯行時,被告人は, - 3 - リタリンの使用に起因する薬剤性精神病に罹患しており,犯行動機は,同病による 妄想の影響があったとしながら,被害者一家らの殺害を決意し,実行した被告人の 意思決定と行動の過程には,病気の症状は大きな影響を与えていなかったとし,完 全責任能力を認めた。
主文(判決文より)
原判決を破棄する。 被告人を無期懲役に処する。 原審における未決勾留日数中400日をその刑に算入する。 押収してあるサバイバルナイフ1本を没収する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。