危険運転致傷(予備的訴因 過失運転致傷)

事件の基本情報

裁判所大阪高等裁判所
事件番号令和1(う)682
判決日2020-09-10
分類高裁
判決種別判決

この事件の代理人

争点(判決文より)

本件の争点は,①被告人が本件時間帯にインスリン
(以下「追加インスリン」という。)を注射したかどうか,②被告人が本件
発進時点で低血糖症の前駆症状を自覚していたか否かとなる。
5 争点に対する原判決の判断
前提事実
被告人は,本件事故の約40年前に1型糖尿病を発症し,血糖値を管理す
る必要があり,本件当時は,基本的には,1日3回の食事前に血糖値を測定
し,ノボラピッド及びトレシーバを注射して血糖値を調整するほか,主治医
であるB病院のC医師(以下「C医師」という。)の了解の下で,必要に応
じて血糖値を測定し,高血糖の場合は追加インスリンを注射し,低血糖の場
合は糖分を摂取していた。
争点①及び②についての判断
ア D医師(以下「D医師」という。)の証言(原審証言に加え,差戻前
第1審での証言を含めて,以下「D証言」という。)は,㋐前記1の本件当
日の被告人の血糖値の変化や低血糖発作の発症状況を前提に,被告人は,午
後1時39分頃の224㎎/㎗という血糖値を知って,それを下げるために
追加インスリンを注射したが,それが効き過ぎて血糖値が大きく下がったも
のであり(以下「㋐の点」という。),また,㋑低血糖症の前駆症状を感じ
たがゆえに午後2時36分前頃にどら焼きとジュースを摂取したのであって
(以下「本件摂食行為」という。),以後,血糖値が上がるだろうと思って
運転を継続したものと推測するが(以下「㋑の点」という。),このような
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D証言は,専門家の立場から,前記1の被告人の血糖値の変化や糖尿病患者
の行動を合理的に説明するものであり,㋒被告人が,その血糖値管理におい
て,全体的に低い値が目立つことからすると,本件当時,高血糖を気にし,
血糖値を下げたいという気持ちが普通の患者より強かった(以下「㋒の点」
という。)との指摘も正当である。
イ これに対し,C医師の証言(原審証言に加え,差戻前第1審での証言
を含めて,以下「C証言」という。)は,D証言の指摘する㋐の点について,
本件当日,被告人の血糖値が大幅に低下した原因について,今までの医学で
は解明困難であるとするが,単なる一般的抽象的な可能性にとどまり,㋑の
点について,C証言にいうように,被告人が,これまで原因不明の低血糖に
より著しい意識低下の状態になったことがないのであれば,224㎎/㎗と
いう高い血糖値が測定されたわずか1時間後に本件摂食行為を行ったことに
ついて,合理的な説明ができないことからすれば,前記アのD証言の推認を
左右するに足りない。
ウ 以上のとおり,信用できるD証言によれば,争点①及び②についての
検察官の主張が認められ,体が熱くなる低血糖の症状があったとの,逮捕直
前の被告人の供述(差戻前第1審乙2)は,上記推認に沿うものであって,
信用できる。
本件注意義務違反の有無

主文(判決文より)

本件控訴を棄却する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。