不正指令電磁的記録保管

事件の基本情報

裁判所東京高等裁判所
事件番号令和1(う)883
判決日2020-02-07
分類高裁
判決種別判決
判決文が挙げた条文刑法168条

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点を,①本件プログラムコー
ドの不正指令電磁的記録該当性,②実行の用に供する目的の有無,③故意
の有無と整理した。そして,審理の結果,争点①の不正指令電磁的記録該
当性が認定できないとして,被告人に対し無罪を言い渡した。
3 本件控訴の趣意は,検察官竹内寛志作成名義の控訴趣意書記載のとおり
であり,これに対する答弁は,主任弁護人C及び弁護人D作成名義の答
弁書記載のとおりである。
論旨は,要するに,本件プログラムコードの不正指令電磁的記録該当
性を否定するとともに,実質的には故意も否定した上で実行の用に供する
目的を否定し,被告人に無罪を言い渡した原判決には,法令の解釈適用の
誤りや事実誤認がある,というのである(なお,検察官は,控訴趣意書に
は,法令の解釈適用の誤りのみを記載したが,公判において,故意や実行
の用に供する目的の判断の誤りに関する主張は,事実誤認の主張を含む趣
旨であると釈明した。不正指令電磁的記録該当性に関する主張も構成要件
の一部に関する原判決の判断の誤りをいうものであるから,不正指令電磁
的記録該当性,故意,目的,それぞれの要件について,法令の解釈適用の
誤りと事実誤認が主張されているものと解される。)。
4 当裁判所は,本件プログラムコードが不正指令電磁的記録に該当しない
とした原判決の判断は,刑法168条の2第1項の解釈を誤ったことに
よる不合理なものであり,法令解釈の誤りや事実誤認をいう検察官の論
旨には理由があり,原判決は破棄を免れず,これまでの証拠調べを踏ま
えると有罪の自判をするのが相当であると判断した。以下,理由を述べ
る。
第2 原判決の概要等
1 原審における被告人の主張の要旨
被告人は,原審において,本件プログラムコードが違法なものとは考
えていなかったとして,その評価を争ったが,本件プログラムコードの保
管等に関する客観的な事実関係は認めた。原審弁護人は,本件プログラム
コードは,一般的にウェブサイトの閲覧の際に随伴して実行されるJavaSc
riptというプログラム言語(以下「ジャバスクリプト」という。)によっ
て記載されており,このプログラムの実行については,ウェブサイトの閲
覧に随伴するものとして認識すべきであり,使用者の推定的同意があるか
ら,意図に反する動作をさせるものではない(いわゆる反意図性を争う主
張),本件プログラムコードは,閲覧者の電子計算機の破壊や,情報の窃
用等の実害を生じさせるものではなく,社会的に許容されるから,不正な
指令を与えるものとはいえない(いわゆる不正性を争う主張),などとし
て不正指令電磁的記録該当性を争い,また,被告人は,本件プログラムコ
ードが不正指令電磁的記録であることを認識認容しつつ実行する目的はな
く,不正指令電磁的記録保管罪の故意もなかった旨主張した(実行

主文(判決文より)

原判決を破棄する。
被告人を罰金10万円に処する。
その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に
換算した期間被告人を労役場に留置する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。