現住建造物等放火,器物損壊,威力業務妨害,非現住建造物等放火

事件の基本情報

裁判所東京高等裁判所
事件番号令和2(う)162
判決日2020-04-22
分類高裁
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点等
原審における主な争点は,公判前整理手続において,①原判示第1の
事件(現住建造物等放火)における本件母屋への延焼可能性の認識及び本
件母屋の現住性の認識,②原判示第2の事件(器物損壊,威力業務妨害)
の犯人性,③原判示第3の事件(非現住建造物等放火)における本件神社
への延焼可能性の認識及び建造物性の認識,④各犯行の責任能力,⑤有罪
の場合の量刑とされた。
被告人の責任能力に関しては,平成30年5月から6月にかけて精神
科の医師が被告人との面接や心理検査を行うなどして,その時点で起訴さ
れていた原判示第2の事件とその時点で捜査中であった原判示第3の事件
の犯行時の被告人の精神障害の有無や精神障害の犯行に与えた影響につい
ての精神鑑定が行われており,医師は,原審公判における被告人質問も傍
聴した上で,原判示第1の事件を含めた各事件についての精神障害の有無
や精神障害の犯行に与えた影響に関し証言を行い,①本件犯行時被告人は
病的放火にり患していた,②被告人の有する病的放火は,本件犯行に直接
の影響を与えた旨の鑑定意見を述べ,その判断根拠などについても証言し
た。
2 原判決の要旨
原判決は,前記の争点①について,被告人の捜査段階供述の信用性を
肯定するなどして,原判示第1の事件の現住性の認識及び延焼可能性の認
識を認め,争点②について,現場を撮影していた防犯カメラ映像などによ
れば,被告人以外の者に犯行の機会がなかったと推認されるなどとして,
原判示第2の事件の被告人の犯人性を認め,争点③について,現場の状況
や犯行態様を検討して,原判示第3の事件の延焼可能性や建造物性の認識
を認めた。なお,原判決は,原判示第1及び第3の事件当時の認識等に関
する被告人の公判供述を,当時の状況を記憶のとおり述べているものとは
扱っていない。
その上で,原判決は,責任能力について,精神鑑定を行った医師の証
言は信用できるが,医師の証言する各犯行の機序自体から,被告人の病的
放火が各犯行に与えた影響を十分に判断できないとした上で,当時の被告
人の行為内容等を検討し,被告人の完全責任能力を認めた。なお,原判決
は,病的放火という精神障害が行動制御能力に一定程度の影響を与えた疑
いが残る点は情状で考慮するとも説示した。
そして,原判決は,各犯行の犯情,各犯行が非現住建造物等放火の罪
による執行猶予中の再犯であること,精神障害が影響した疑い,原判示第
1について自首は成立しないが被告人の供述で捜査が進んだこと,被告人
の反省の程度や被害弁償の状況,前刑の猶予が取り消される見込みである
ことなどを考慮し,被告人を懲役7年に処した。

主文(判決文より)

本件控訴を棄却する。
当審における未決勾留日数中60日を原判決の刑に算入する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。