事件の基本情報
| 裁判所 | 甲府地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和5(ワ)408 |
| 判決日 | 2026-01-20 |
| 分類 | 民事 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点(1)(本件誓約書の法的効力) 【被告の主張】 地域枠志願者が本件誓約書に署名、押印しても、医師免許取得後に本件契約 書が締結されない限り、本件契約書記載の違約金の支払義務は生じない。また、 地域枠志願者が本件誓約書に署名、押印したことをもって、本件契約書が締結 されたことにもならない。 よって、本件誓約書そのものには、地域枠医師に違約金の支払義務を生じさ せる法的効力が認められない。 【原告の主張】 本件誓約書を提出した地域枠志願者が、医師免許取得後に本件契約書を締結 しないという選択をすることはできず、本件契約書を締結するかどうかをその 自由な意思に基づいて決めることはできない。また、本件誓約書の文言や体裁、 違約金条項が導入された経緯及び被告が外部の団体からの質問に対して本件 誓約書には違約金の支払義務を発生させる法的効力がある旨公開の回答をし ていること等からすると、被告の主張には疑義があり、本件誓約書が存在する ことによって、地域枠志願者が医師免許取得後に本件契約書の締結を拒むこと ができず、法12条3項の定める意思表示が行われるおそれがある。 (2) 争点(2)(本件契約書に消費者契約法が適用されるか) 【原告の主張】 本件契約書は、地方公共団体という事業者と研修医個人との間で締結される もので、研修医が本件プログラムに従事することを義務として定めた役務提供 契約であり、消費者契約(法2条1項)に当たる。 研修医は、医師免許を持つことで医業という事業を行い得るが、医師国家試 験合格後は医師法により2年間の研修義務があり、通常はその後専門医研修を 行うのであって、これらの期間、研修医は労働者として医療機関に勤務するこ とになる。そうすると、本件契約書は、地域枠医師が事業に従事する可能性が ない時期に締結されるものであって、法2条1項括弧書きの「事業のために」 する契約には当たらない。 【被告の主張】 本件契約書の当事者である地域枠医師は、個人ではあるものの、自らが医師 として医業という専門的職業に従事するに当たっての能力開発及び向上を図 るために本件契約書の契約当事者となっているから、「事業として又は事業の ために契約の当事者となる場合における個人」(法2条2項)に該当する。 よって、地域枠医師は「消費者」(法2条1項)ではなく、本件契約書は「消 費者と事業者との間で締結される契約」(同3項)ではないから、消費者契約に 当たらない。 (3) 争点(3)(本件誓約書第7項は法9条1項1号及び10条に各規定する条項 に該当するか) 【原告の主張】 ア 法9条1項1号該当性 (ア) 地域枠志願者による本件誓約書第7項の誓約(本件契約書を締結する 旨の誓約)を撤回するとの意思表示は、法9条1項1号の契約の解除の意 思表示に当たる。 (イ) そして、本件
主文(判決文より)
1 被告は、消費者との間で、令和6年度の山梨県地域枠による学校推薦を受けた 山梨大学医学部医学科の受験生が将来医師になる際の「山梨県地域枠等医師キャ リア形成プログラムの適用に係る誓約書」を受領するに際し、下記内容の意思表 示を行ってはならない。 記 学校推薦による山梨県地域枠入学後の条件に消費者が違反した場合に、消費者 が被告に対して違約金を支払うものとする意思表示 2 被告は、消費者との間で、令和3年度以降の山梨県地域枠による学校推薦を受 けた山梨大学医学部医学科の受験生が将来医師になる際の「山梨県地域枠等医師 キャリア形成プログラムの適用に係る契約書」を合意するに際し、下記内容の意 思表示を行ってはならない。 記 学校推薦による山梨県地域枠入学後の条件に消費者が違反した場合に、消費者 が被告に対して違約金を支払うものとする意思表示 3 被告は、第1項及び前項の意思表示が記載された誓約書、入試要項、契約書及 び指針その他一切の表示を廃棄せよ。 4 被告は、その職員ら及び山梨県地域枠を設定している大学に対し、第1項及び 第2項記載の意思表示を行ってはならないこと並びに第1項記載の誓約書、第2 項記載の契約書、入試要項及び指針その他一切の表示を廃棄して使用しないこと を周知徹底させる措置をとれ。 5 訴訟費用は被告の負担とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。