事件の基本情報
| 裁判所 | 長野地方裁判所 松本支部 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和6(わ)89 |
| 判決日 | 2026-03-09 |
| 分類 | 民事 |
| 判決文が挙げた条文 | 刑事訴訟法336条、刑法39条1項 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点は、責任能力である。この点に関し、検察官は起訴前本鑑定 を実施した精神科医Cの意見に依拠するなどして完全責任能力を主張し、弁護人は 25 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律50条に基づく精神鑑定を実施した精神科 医Dの意見に依拠するなどして心神喪失を主張する(以下、C医師の実施した鑑定 を「C鑑定」といい、D医師の鑑定結果と証言を併せて「D鑑定」という。)。 2 本件証拠状況及び検察官、弁護人の主張 ⑴ 本件においては、被告人の供述に変遷が見られる。被告人は、令和6年6月 26日の本件行為後、自ら通報して逮捕され、同日以後、警察官や検察官からの取 5 調べを何度も受けたが、同年7月9日から同年9月12日までの間実施されたC鑑 定を経て同月19日起訴され、令和7年7月7日から同年10月7日までの間実施 されたD医師による鑑定の最中、同年7月14日に実施されたD医師による2度目 の問診(以下「本件問診」という。)に至るまで、本件幻聴等について一切言及する ことなく、要旨、「本件当日、父(被害者)に怒鳴られたことをきっかけに、これま 10 で同居生活の中で父にされたことなどを思い出し、『これ以上一緒に生活するのは 無理だ。』などと考えて本件行為に及んだ。」との供述をしていた(乙3号証、乙8 号証等。以下、乙8号証を「本件弁解録取書」ともいい、被告人の本件問診に至る までの供述を総称して「旧供述」という。)。 他方、本件問診以後、被告人は、本件幻聴等の存在を語り始めた。本件問診では、 15 「怒鳴ってきた父親が元夫に見えた。」などと、令和7年9月9日には、「『殺せ。殺 さないと殺すぞ。』と聞こえていた。」などとそれぞれ話し始め、公判においては、 これを更に詳細化させた(以下、被告人の本件問診以後の供述を総称して「新供述」 という。)。 ⑵ C、D両医師の鑑定内容や意見は、次のとおりである。 20 ア C医師は、新供述は詐病のための虚言であるとし、精神医学的知見を踏まえ て旧供述の信用性を肯定する意見を述べるとともに、旧供述の内容を前提とした鑑 定結果や意見を述べる。他方、D医師は、旧供述は、病的体験を語ることのできな い中で、状況を自分なりに解釈して話した結果ではないか、などとし、精神医学的 知見を踏まえて新供述の信用性を肯定する意見を述べるとともに、新供述の内容を 25 前提とした鑑定結果や意見を述べる。 なお、両医師の意見に関連する事情として、被告人の通院歴を見ておくと、次の とおりである。すなわち、被告人は、令和元年7月から本件当時に至るまで精神科 病院(以下「本件精神科病院」という。)に通院を継続しており、ADHD及びパニ ック障害との診断を受け、投薬を受けていた。処方薬はADHDの治療薬「ストラ テラ」のほか精神安定作用のある抗てんかん薬「リボ
主文(判決文より)
被告人は無罪。 5
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。