事件の基本情報
| 裁判所 | 札幌高等裁判所 刑事部 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和7(う)74 |
| 判決日 | 2026-01-27 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 刑法21条、刑法25条1項、刑法62条1項、刑法63条、刑法68条3号 |
この事件の代理人
- 吉田康紀(検察官)/札幌弁護士会
争点(判決文より)
争点と原判決の結論的判断等 原審において、原審検察官は、被告人は、遅くともAが6月18日に「デ ィスカッション」と称して行った話合いの時点までにAから本件殺人等に及 ぶことを聞き、事前に本件殺人等の計画を認識した上で、各幇助行為に及ん だと主張した。これに対し、原審弁護人(当審弁護人と同一である。)は、 ⑴被告人はAが7月2日未明に被害者の頭部を被告人方浴室に置いた後に初 めてAの殺人等の情を知ったから、公訴事実1ないし4のうち同時点までの 被告人の行為には幇助の故意がない、⑵死体遺棄罪の法令解釈からは、本件 死体遺棄は死体を被告人方に運び込んだ時点で終了することなどから、同時 点以降の公訴事実4の行為が死体遺棄を幇助したはいえない、⑶公訴事実5 の行為は、Aによる死体損壊行為を容易に又は促進していないなどといい、 被告人は無罪であると主張した。 これに対し、原判決は、⑴被告人は、Aが被告人方に被害者の頭部を持ち 帰って浴室に置いた頃までAの本件殺人等の意図を知らず、幇助の故意がな かったとの合理的な疑いが残る、⑵Aによる死体遺棄は7月24日午前8時 45分頃まで継続しており、かつ、被告人は被害者の頭部が自宅に置かれた のを認識して以降、それを容認するなどして犯行を促進したと認定評価でき るから、その点で死体遺棄幇助罪が成立する、⑶被告人が、Aによる右眼球 摘出行為をビデオ撮影することで死体損壊を心理的に促進したと認定評価で き、右眼球摘出行為に対する死体損壊幇助罪が成立すると判断した。 原判決が認定した罪となるべき事実の要旨は、次のとおりである。すなわ ち、「被告人は、娘であるAが、⑴7月1日夜に殺害した上その死体の胴体 - 3 - から切り離し、同月2日午前3時頃、札幌市h区hi丁目j番k号の被告人 方(当時)に運搬してきた被害者の頭部を、その頃から同月24日午前8時 45分頃までの間、前記被告人方で継続して隠匿し、もって死体を遺棄し、 ⑵その間の同月7日午後8時18分頃から同日午後8時24分頃までの間、 多機能ナイフを使用するなどして、前記頭部から右眼球を摘出し、もって死 体を損壊した際、 1 Aが、前記⑴のとおり、被告人が所有し、かつ居住地である前記被告人 方において前記死体を遺棄することを知りながら、前記⑴の間、同所におい て、これを容認し 2 同月7日午後7時32分頃から同日午後7時43分頃までの間に、妻で あるFから、Aが、被害者の頭部を置いている被告人方浴室においてビデオ 撮影するよう求めているので、被告人においてビデオ撮影してほしい旨依頼 されて、Aが同頭部を損壊するかもしれないと認識しながら、これを容認す るとともに同依頼を応諾し、前記⑵の間、同所において、Aによる前記⑵の 場面を自らビデオ撮影し もってAの前記各犯行を容易にさせて幇助し
主文(判決文より)
原判決を破棄する。 被告人を懲役1年に処する。 原審における未決勾留日数中120日をその刑に算入する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。