住居侵入、殺人

事件の基本情報

裁判所福岡高等裁判所 第3刑事部
事件番号令和8(う)2
判決日2026-04-30
分類高裁
判決種別判決
判決文が挙げた条文刑法21条

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点は、殺意の有無、すなわち、被告人が、人が死ぬ危険
性が高い行為をそのような行為であると分かって行ったかどうかである、とした上
で、要旨、次のとおり説示して、被告人の殺意を認定した。
イ 被告人の供述によって、被告人が、被害者の頸部を、その抵抗を排除しつつ、
同人が動かなくなるまで、腕及び手指で絞め付けた事実が認定でき、被害者の遺体
の司法解剖を行ったA医師の供述を踏まえると、被告人は、少なくとも、人の脳が
機能停止して窒息死するのに必要な相応の時間、被害者の頸部を相当程度の力で絞
め続けたと認められる。首を絞めるという行為自体が人の生命を奪う危険性の高い
行為であることに加え、頸部の圧迫時間の長さや強さからすれば、被害者に対する
行為が人を死亡させる危険性の極めて高い行為であったことは明らかであり、被告
人においても、自らの意思でその行為を行っている以上、そのことを当然認識して
いたといえる。
被告人は、被害者が声を出さなくなったので、気絶したものと考え、被害者が意
識を取り戻しても声を出せないようにするため、口にガムテープを貼ったなどと供
述する。しかし、被告人は、人の首を絞めて気絶させた経験は過去になく、気絶に
とどめるための知識や技術もなかった旨供述しているから、被告人は、被害者の頸
部を絞め続ける行為が人を死なせる危険性の高い行為であることを認識していたと
認められる。被害者が声を出さないように口にガムテープを貼ったとの供述は、同
供述以外に裏付ける証拠はなく、内容が不自然で、供述態度も不自然さが否めない。
被告人の供述は到底信用できず、前記認定に合理的疑いを抱かせるものではない。
⑶ 当裁判所の判断
ア 原判決の判断に論理則、経験則等に照らして不合理な点はなく、当裁判所と
しても、これを是認できる。
イ 所論は、①被告人には自閉症スペクトラム障害等の特性等が認められるから、
同特性の影響により、力を加減して首を絞め続ければ気絶すると思い込んでいた可
能性が高く、終始、被害者を気絶させるつもりで、被害者の死の結果を全く認容し
ていなかった可能性も否定できない、②被害者の頸部に加えられた、少なくとも3
分間、2kg以上(舌骨骨折は3.11kg)の力は、成人男性が加えることが可
能な力の10分の1以下にとどまっており、被害者の頸部に加えられたと考えられ
る時間や力からは、直ちに殺意を推認できるものではない、③被告人が、本件犯行
後、被害者の口にガムテープを貼った行動は、殺意がなかったことを物語っている、
という。
しかしながら、①(自閉症スペクトラム障害等の特性等の影響の点)について、
被告人の精神鑑定を行ったB医師の証言等によれば、被告人が、本件犯行当時、自
分の行為やその意味合いについて認識できなかったとは窺われないことなどを踏ま
えると、

主文(判決文より)

本件控訴を棄却する。
当審における未決勾留日数中90日を原判決の刑に算入する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。