懲戒免職処分等取消請求控訴事件

事件の基本情報

裁判所福岡高等裁判所
事件番号令和8(行コ)7
判決日2026-06-11
分類高裁
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点(1)(本件懲戒免職処分の違法性の有無)について
[中略: 2ページ]
いると認識していたとの上記(2)の認定を覆すに足りる証拠はない。
(4) そして、上記のとおり、控訴人は、海の中道大橋死亡事故を契機として、長
年にわたり、飲酒運転の撲滅に真摯に取り組み、残り酒運転についても、具体
的な数値を用いた研修等を実施するとともに、残り酒運転をした職員について
も懲戒免職処分をし、その撲滅に取り組んできたこと、酒気帯び運転をした職
員は原則免職と定め、飲酒運転事案につき全て懲戒免職処分としてきたこと、
これらの事情を被控訴人も控訴人の職員として認識していたこと(甲8、被控
訴人本人)、本件行為の際、人的・物的被害は発生しなかったものの、呼気1ℓ
当たり0.2㎎というアルコール保有量は刑事処罰の対象となり得るもので、
それ自体危険な行為であり、かつ、市民からの信頼を失墜させるものであるこ
と(2件ではあるものの、現に、市民から本件行為につき苦情が寄せられてい
る。)に照らすと、被控訴人が本件行為について反省の態度を示していること、
被控訴人が約36年7か月にわたり懲戒処分歴なく勤続してきたこと、被控訴
人が、本件行為当時、管理職ではなかったことなど、被控訴人に有利な各事情
を踏まえてもなお、控訴人が、本指針上の「特段の事情」があると認めず、本
件懲戒免職処分をしたことが、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を
逸脱し、又はこれを濫用したと認めることはできない。
なお、酒気帯び運転をした控訴人の職員に対する平成18年度以降の処分例
のうち、平成25年度の1件については、懲戒免職処分が訴訟により取り消さ
れ、停職1年の処分がされたことが認められるが、控訴人が、平成27年以降、
残り酒運転についても研修を実施するなどしてその撲滅に取り組んできたと
いう上記経過に鑑みると、1件の例外的な事案があるからといって、本件懲戒
免職処分が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはでき
ない。
また、被控訴人は本件行為について不起訴処分とされたものであるが、刑事
処罰の対象となり得る行為があったことには変わりがなく、現に本件行為によ
り免許停止がされたものであるから、不起訴処分は、被控訴人に特に有利な事
情であるとはいえず、本件懲戒免職処分の適法性についての判断を左右するも
のではない。
(5) 被控訴人は、本件懲戒免職処分前に実質的な弁明の機会が与えられておらず、
手続的瑕疵がある旨をも主張する。
しかし、被控訴人は、本件行為当日に1時間、翌日に2時間、事情聴取を受
け、本件行為に至る経緯、本件行為当時の認識等につき、本件訴訟における主
張内容と同様の弁明をし、これを記載した調書に誤りがないことを確認して署
名し(甲8)、令和5年10月25日に実施された口頭審

主文(判決文より)

1 原判決を取り消す。
2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、第1、2審とも、被控訴人の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。