損害賠償請求事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号令和6(ワ)70056
判決日2026-03-05
分類民事 / 著作
判決種別判決

この事件の代理人

争点(判決文より)

争点
(1) 著作権(複製権・譲渡権)侵害の成否(争点 1)
被告による本件書籍の重版に対する原告の許諾の有無
(2) 原告の損害の有無及びその額(争点 2)
(3) 消滅時効の成否(争点 3)
5 3 争点に関する当事者の主張
(1) 争点 1(著作権(複製権・譲渡権)侵害の成否)について
(原告の主張)
ア 本件書籍の出版に係る契約における出版の許諾及び対価に係る合意は初
版に関するもののみであって、重版は原告の著作権(複製権・譲渡権)を
侵害するものである。
原告は、初版を発行する際、被告から、重版に当たり改めて原告から許
諾を得ることも追加の対価支払もない旨の説明を受けておらず、そのよう
な条件を承諾して出版権設定契約を締結していない。出版権設定時に著作
権者に対して著作権使用料の全額を一括して支払う方法(一括払方式)は、
出版部数に応じた額の著作権使用料を著作者に対して都度支払う方法(印
税方式)に比べて著作者に与える不利益が大きいことなどから、一括払方
式を採用する場合には契約書を作成するのが合理的である。印税方式の場
合でも、初版の際の契約時に重版後の印税率まで合意しておくのは必ずし
も一般的ではなく、増版が決まった場合に新たに印税率について合意がな
されることが多い。
また、原告は、被告の当時の担当者から本件書籍の 2 刷の発行に関する
報告を受けた際、追加の対価支払について尋ねたところ、担当者からは、
「著作権を買い取ったので、重版をしても追加の許諾料を支払う必要がな
い」旨の虚偽の説明を受けた。原告は法律に詳しくなく、原告が許諾をし
なくても被告は本件書籍の重版を発行できるものと信じ込んだため、その
後に被告から重版の連絡が都度あった際にも、原告が重版について明示又
は黙示に許諾したことはなかったものの、原稿執筆料や監修料等本件書籍
の出版に係る契約内容について被告に尋ねる機会は、実質的にはなかった。
さらに、初版の売上高と原告ないしミッツ社に支払われた原稿料及び監
修料の額を踏まえると、原稿料等は、重版分も見込んだものとはいえず、
初版分についての著作権使用料とみるべきである。
イ 仮に原告と被告との間で出版権設定契約が成立していたとしても、出版
権設定行為において存続期間の定めがない場合、出版権はその設定後最初
の出版行為等があった日から 3 年を経過した日において消滅する。同契約
について契約書が作成されていないことや、被告が原告に対し契約を更新
する旨の通知を送付していないことに鑑みると、原告と被告との間で契約
を更新する旨の合意があったともいえない。また、一括払方式の場合に支
払われる原稿料等は、出版権設定契約の存続期間中の出版についての対価
を前払いしたものと理解するのが合理的である。そもそも、原告は、出版
権消滅後も被告が本

主文(判決文より)

1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。