着手金返還請求事件

事件の基本情報

裁判所東京地方裁判所
事件番号令和5(ワ)29933
判決日2026-05-22
分類知的財産 / 特許
判決種別判決
当事者原告 アースグリッド株式会社

この事件の代理人

争点(判決文より)

争点及びこれに関する当事者の主張
(1) 本件契約3条3項充足性の有無(争点1)
(原告の主張)
本件契約3条3項は、本件発明の実施品の発電状態が正常ではなく、原告
において実用化が難しいと判断した場合に、被告に着手金の返還義務を課す
ものであり、正常とは、同条2項において、「風速6メートルを達成するまで
に、3キロワットを出力すること」と規定されているところ、「風速6メート
ルを達成するまでに、3キロワットを出力すること」の意味は、風速6mに
達するまでに、瞬間的に3kwを出力することである。
そして、本件発明の実施品として被告から提示された図面やその指示に基
づき製造した風力発電装置は、風速6m/sの状況で、僅か30w程度の出
力しかないから、上記性能を満たしておらず、実用化は困難である。
(被告の主張)
本件契約3条3項は、同条2項と別個の条項であり、同条3項により着手
金の返還義務が生じるのは、実用化が難しいと判断された場合に限られ、発
電がされれば実用化がされたものと解すべきである。なお、同条2項は、同
項記載の数値が達成されない場合には、原告において残金2000万円の支
払をする必要がないことを定めた規定である。
また、「風速6メートルを達成するまでに、3キロワットを出力すること」
における「3キロワット」は1日当たりの電力量である。
(2) 「正常」について定めた本件契約3条2項の不法条件該当性ないし公序良
俗違反の有無(争点2)
(被告の主張)
仮に、本件契約3条2項の「正常」が、風速6mを達成するまでに、瞬間
的に3kwを出力することを意味するのであれば、物理的にあり得ないもの
である。原告は、本件契約時、本件契約3条2項の「3キロワット」が1日
の電力量であることを認識しながら、後になって、履行不可能である瞬間的
に3kwを出力することを意味すると言い出したものであるから、「正常」に
ついて定めた本件契約3条2項は、不法条件に当たるか、又は公序良俗に反
し無効である。
(原告の主張)
本件契約3条2項の「正常」の定義は、被告から説明を受けた風力発電装
置の内容に従って設定されたものであるから、原告が、被告に対し、実行不
可能な条件を提示して契約を締結させたことはなく、不法性のある条件でも
なければ、公序良俗に反するものでもない。
(3) 本件契約はケインズのために締結したものであるか否か(争点3)
(被告の主張)
本件契約は、被告が代表取締役を務めるケインズのために締結したもので
ある。本件契約に係る契約書(甲1)に被告名義の記載があるのは、原告が
強く主張したためであり、実体としては、ケインズが本件契約の当事者であ
る。
(原告の主張)
否認する。

主文(判決文より)

1 被告は、原告に対し、500万円及びこれに対する令和5年11月4日から
支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。