殺人

事件の基本情報

裁判所仙台地方裁判所
事件番号令和7(わ)497
判決日2026-04-28
分類民事

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点は量刑であるが、以上のような犯行態様の危険性や結果の重大性について
は弁護人も特に争っていない。本件の実質的な争点は、本件犯行当時、重症うつ病エピ
ソードのために心神耗弱の状態であった被告人が本件犯行に及んだことについて、どの
程度、重い非難ができるかである。
この点について、検察官は、被告人が自身の負担を解消するため、被害者の意思も聞
かずに殺害したのであり、被告人が述べる犯行の理由自体、余りに身勝手かつ自己中心
的なものと言わざるを得ないなどと指摘する。
しかしながら、被告人は、野球の練習を熱心にサポートするなど献身的に被害者を養
育し、被害者も両親の離婚に際して被告人との生活を望むなど、被告人と被害者との関
係は良好であり、被害者は被告人にとって最愛の息子であったことがうかがわれる。被
告人のうつ病が重症化したのも、被害者の健康等を気遣う余り、食事が十分に準備でき
ないと自らを責め、被害者の将来を悲観して不憫に思うなどしたためであり、被害者を
深く愛するが故の苦悩であったといえる。「自身の負担を解消するため」「身勝手かつ自
己中心的」などという検察官の指摘は、そのような被告人の心情等を軽視し、偏った視
点から殊更に非難を加えようとするものであって、与することができない。
被告人と被害者との暮らしに、実際には特に破綻もなかったにもかかわらず、被告人
が最も愛情を注いでいた被害者を自ら手にかける本件犯行に及んだことは、重症うつ病
エピソードによる強い希死念慮、思考抑制及び悲観的認知等の影響を抜きにしては理解
することが困難である。被告人が犯行を思いとどまったこともあることや犯行後に学校
や会社に連絡をした上で自首するなど一定程度合理性のある行動を取っていたことなど
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を考慮しても、重症うつ病エピソードの症状が本件犯行に大きな影響を与えたことは明
らかであり、その分、被告人に対する非難の程度は大きく減ぜられるというべきである。
このような本件の犯情を踏まえて、同種事案(殺人1件、単独犯、被害者の立場は子、
前科等なし、心神耗弱)の量刑傾向(42件中33件が執行猶予)に照らすと、本件は同
種事案の中で犯情が特に重いものとはいえず、その刑の執行を猶予するのが相当な事案
といえる。
犯情に関するこれらの判断により定められた刑責の枠内において、被告人が犯行直後
に自首したことや、本件を深く後悔して反省の弁を述べるとともに治療を受ける意欲を
示していること、実母が当公判廷に出廷して、被告人と同居し、通院等にも協力する旨
述べていることなどの一般情状も考慮して、主文の刑を量定した。
令和8年4月28日
仙台地方裁判所第1刑事部
裁判長裁判官 榊 原 敬
裁判官 米 満 祥 人
裁判官 黒 岩 未 千 華
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主文(判決文より)

被告人を懲役3年に処する。
未決勾留日数中180日をその刑に算入する。
この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
仙台地方検察庁で保管中のナイフ1本(同庁令和7年領第623号符号2)
及び白色ロープ4本(同号符号73ないし76)を没収する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。