傷害被告事件

事件の基本情報

裁判所高松地方裁判所
事件番号令和5(わ)332
判決日2024-07-12
分類民事

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点に対する判断)
弁護人は、被告人は心神耗弱の状態にあった旨主張する。当裁判所が被告人の完
全責任能力を認めた理由は、次のとおりである。
捜査段階で精神鑑定を担当したB医師は、おおむね、次のように鑑定している。
すなわち、被告人は、解離性同一性障害にり患しており、本件犯行時、別のパーソ
ナリティ状態が出現し、憤怒する感覚や離人感等の解離症状が認められたほか、「バ
チを当てろ」「呪い」といった解離性幻聴が現れていた可能性がある。これらの解
離症状が、怒りを行動化しやすい状態や、自分の言動を制御できないとの感覚をも
たらし、本件犯行を促進させた。もっとも、被告人は、相応の記憶が保たれており、
人格交代までは生じていない。被告人は普段から被害児の母らに対する強い怒りの
感情を抱き続けており、別のパーソナリティ状態における憤怒の感覚や幻聴の内容
等は、普段のパーソナリティ状態とも共有されていた。したがって、上記解離症状
が本件犯行を促進させた面があったとしても、普段のパーソナリティ状態による影
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響も存する以上、その影響は限定的なものにとどまり、著しいものとはいえない、
というのである(甲40)。B医師の鑑定は、公正さや能力、前提事実、鑑定手法
に問題はなく、高い信用性が認められる。
そもそも、解離性同一性障害は、心因性あるいはストレス因関連性の精神障害で
あって、重度の精神障害ではないとされている上(甲40)、夫の母や妹に対する
不満や怒りから妹の子に傷害に及んだという動機は了解可能であり、自ら生成した
酢酸鉛を、被害児を加害するために、関係者らの目を盗んで、粉ミルクに混入する
という発覚しにくい態様でした本件犯行は、合目的的で合理的なものといえるし、
記憶も相応に保たれている。また、被告人は、残っていた酢酸鉛を廃棄するなどの
罪証隠滅行為にも及んでいる。本件犯行時、被告人には、自己の行為の違法性を弁
識する能力や、行動を制御する能力が備わっていたといえ、完全責任能力が認めら
れる。
弁護人の主張は採用できない。
(法令の適用)
(略)
(量刑の理由)
被告人は、夫の母や妹の日頃の言動を自分に対する嫌がらせと捉えて不満を募ら
せ、夫の母や妹を傷付けるために、判示のとおり、夫の妹の生後2か月余りの子で
ある被害児の粉ミルクに、数回にわたり酢酸鉛を混入し、母である夫の妹らをして、
その酢酸鉛が混入された粉ミルクを調乳させ、被害児に対し、多数回飲用させて、
鉛中毒の傷害を負わせた。乳児である被害児に何の落ち度もないことは明らかであ
り、極めて理不尽な犯行である。しかも、その態様は、異変や被害を訴えることの
できない乳児を標的として、家人しか触れるはずのない家庭内で保管され、通常、
高い安全性が担保されていると信頼される乳児用の粉ミルクに、容易には判別でき
な

主文(判決文より)

被告人を懲役3年に処する。
未決勾留日数中30日をその刑に算入する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。