事件の基本情報
| 裁判所 | 東京高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和1(う)1512 |
| 判決日 | 2020-12-10 |
| 分類 | 高裁 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
- 山本衛(被告代理人)/第一東京弁護士会
争点(判決文より)
争点となった。 3 前記争点①について,原判決は,次のように説示して,Aが何者かによ って頸部を圧迫されて窒息死したことが推認できるとした。 ⑴ Aの死体の司法解剖を行ったB教授は,死体は死蝋化して高度に死後 変化していること,死体に致死的な損傷や病変をうかがわせる所見が認められ ないこと,頸部(右総頸動脈の内膜及び環椎前方の筋肉内),左の上眼瞼結 膜,右の眼球結膜及び左右の肺表面に出血をうかがわせる所見があり,これら - 1 - は頸部圧迫による窒息死の可能性を示すものの,腐敗等の死後変化によって生 じた可能性もあること,死体の大腿筋から検出されたジフェンヒドラミンを基 に推定した死亡時の血中濃度が8.8ないし10.6㎍/gであるところ,致 死的となるジフェンヒドラミンの血中濃度は5ないし10㎍/gとされている ため,ジフェンヒドラミン中毒死の可能性もあることを指摘し,死因は不詳と せざるを得ないと証言する。また,B教授は,ピンク歯自体は重要な所見では なく,解剖時にはそれほど意識していないという。C准教授も,B教授の見解 を支持する旨証言する。 ⑵ 一方,D教授は,B教授作成の鑑定書等の資料に基づいて,Aの死因 について検討し,死体の歯には,著明なピンク歯の所見(歯牙が,左右,上下 ともほぼ均等かつ広範囲に鮮明なピンクに変色した状態をいう。以下同じ。) が認められるところ,これは,死亡時に頭部全体が強く鬱血していたことを示 す所見であり,その原因として頸部圧迫による窒息死が考えられると証言す る。すなわち,ピンク歯は,歯の中の細血管が破れて出血し,死後に体内で産 生された一酸化炭素等と血液中のヘモグロビンが結合することによって形成さ れると考えられ,臼歯より切歯,歯冠部より歯根部の方に細血管が密集してい るため強い色調になりやすい。そして,頸部を圧迫すれば,歯の細血管を含め 頭部全体が鬱血し,窒息による酸素欠乏で細血管が破れやすくなり,それが破 れて血液が出ることによって著明なピンク歯が形成されるという。そして,頸 部(B教授指摘の箇所のほか,甲状舌骨筋付近),左上下及び右上の眼瞼結 膜,肺胸膜及び頭蓋内に出血をうかがわせる所見があること,Aが事件当時2 5歳で生死に関わる病気を有しておらず,死体にも死亡につながる外傷がなか ったこと,死体の大腿筋等から高濃度のジフェンヒドラミンが検出されている ところ,ジフェンヒドラミンによる中毒死は遷延死であるのが通常で,頭部鬱 血は生じないため,著明なピンク歯が認められる本件ではジフェンヒドラミン 中毒死が死因とは考え難いこと,ジフェンヒドラミン中毒が原因で急死したと - 2 - すると,胃内容物にジフェンヒドラミンの残渣が認められるはずであるが,そ のような所見はないことも指摘して,Aの死因として頸部圧迫による窒
主文(判決文より)
原判決を破棄する。 本件を東京地方裁判所に差し戻す。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。