傷害致死被告事件

事件の基本情報

裁判所鹿児島地方裁判所
事件番号平成23(わ)280
判決日2012-04-20
分類民事
判決文が挙げた条文刑事訴訟法181条1項、刑法21条、刑法60条、刑法66条

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点
被告人に傷害致死罪の共同正犯が成立することについては争いがないものの,
弁護人は,被告人にはCを海に転落させる意思はなかったから,他の共犯者らと
の間にその点に関する具体的な意思の疎通はなかったと主張し,被告人もこれに
沿う供述をしている。そこで,以下,この点について検討する(なお,AとBと
の間にそのような意思の疎通があったことは証拠上明らかである。)。
2 被告人の意思内容について
⑴ 被告人は,A及びBとともに,c港の岸壁際でCの両手足を持ち,海に向か
って揺さぶる行為(以下「ゆりかご行為」という。)を行っている。そして,
被告人が,Aから「落とすが,持て。」(「落とすぞ。持て。」の意味の方
言。)などと言われ,Aが本気でCを海に落とすつもりであることを認識しな
がら,「ゆりかご行為」に荷担していることからすれば,被告人が,「ゆりか
ご行為」の際,Cが海に落ちても構わないとの意思を有していたことは明らか
である。
⑵ ところで,被告人は,最初の「ゆりかご行為」の後,Aに対し「ぐらしくな
いですか」(「かわいそうではないですか」の意味の方言。)と問いかけてお
り,その後は,「ゆりかご行為」へ参加していない。
この言動ないし経過のみからすると,当時,被告人はCを海に落とす意思を
失っていたとも考えられる。
しかしながら,①被告人は,「ゆりかご行為」への参加をやめる際,AやB
に対して,Cを海に落とすのを止めるよう提案することなく,むしろ,それま
で自分が握っていたCの左手をBに握らせ,「ゆりかご行為」が続行されるの
を暗に容認している。また,②その後,被告人は,Cを海に落とすようAから
指示をされながら,Cを岸壁に立たせた上で,一,二分にわたり同人を海中に
落とすふりを繰り返したのみで,自らの手でCを海に落としはしなかったもの
の,Aが「何で落とさないんだ。」,「俺はガチだぞ。」などと言って近づい
てきたため,AがCを海中に落とすつもりだと明確に認識したにもかかわらず,
Cを岸壁に立たせたまま後ずさりしてCから離れてもいる。さらに,③実際に
Cが転落すると,Cがおぼれているのに気づくまで,その様子を見て笑ってい
た。
以上の事実からすると,被告人は,最初の「ゆりかご行為」の途中,自らの
手でCを海に落とすのをためらうようになったものの,その後もなお,AやB
らがCを海に落とすのならば構わない,しょうがないとの意思を有していたと
認められる。
 したがって,被告人と共犯者との間にCを海に転落させることについての個
別具体的な意思の疎通があったことは優に認められる。
(法令の適用)
1 罰 条 刑法60条,205条
2 酌 量 減 軽 刑法66条,71条,68条3号
3 不 定 期 刑 少年法52条1項
4 未決勾留日数の算入 刑法21条
5 訴訟費用

主文(判決文より)

被告人を懲役2年以上3年以下に処する。
未決勾留日数中50日をその刑に算入する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。