偽造通貨行使

事件の基本情報

裁判所東京高等裁判所
事件番号令和2(う)127
判決日2021-01-13
分類高裁
判決種別判決
判決文が挙げた条文刑法148条2項

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点は,「被告人が,
自分で又はAを介し,偽造の1万円札であると認識した上で,行使したか」である
と整理されたところ,原判決は,概要,以下のとおり説示して,両事件について,
被告人を無罪とした。
1 亀戸事件について
被告人は,亀戸事件の約13時間前に,江東区江東橋所在のコンビニエンススト
アで,連れの男性とそれぞれ1万円札を使用し,店外で乗用車の後部座席に乗り込
んだ際,2回にわたって同車のところに来た同店従業員が,偽札であると指摘した
ことを認識していたことや,亀戸事件で使用された1万円札の外観等の特徴などか
らすると,遅くとも亀戸事件の時までには,被告人が1万円札は偽造であると認識
していたことは明らかであるが,刑法上,偽造通貨行使罪(刑法148条2項)の
ほかに,偽造通貨収得後知情行使罪(同法152条)が規定されていることを踏ま
えると,被告人が,いつの時点から偽造1万円札であると認識していたかについて
も検討する必要があるところ,被告人が偽造1万円札を受け取った具体的な状況は
解明されておらず,生活実態や交際範囲が明らかでない被告人に対し,偽造犯又は
その関係者が,何らかの支払等として,偽造1万円札を本物として受け取らせた可
能性は否定できない。偽造1万円札の入手状況に関する被告人の供述は不合理で,
虚偽の疑いがあるが,被告人と偽造1万円札を受け取らせた人物との関係によって
は,被告人が,報復を恐れるなどして虚偽を述べる可能性も否定できず,供述の不
合理性を根拠として受取時点からの認識を推認することはできない。以上によれば,
被告人が偽造1万円札を受け取った時点から,偽造紙幣かもしれないと認識してい
たとは認められず,被告人には偽造通貨収得後知情行使罪が成立する可能性はある
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ものの,偽造通貨行使罪の成立は認められない。
2 千葉事件について
Aは,被告人運転の乗用車のフロントガラスの下のダッシュボード上に,20枚
以上の1万円札がむき出しの状態で置いてあり,千葉事件の3店舗で商品を購入し
た際は,その都度,車内等で被告人の内妻から,ダッシュボード上の1万円札を渡
され,釣銭は内妻に渡したこと,内妻にはお金はないはずなので,乗用車内の1万
円札は被告人のものだと思ったことなどを証言するが,Aの証言は,偽造1万円札
が置かれていた状況について,不可解な点や捜査段階の供述から変遷している点が
あること,道の駅や雑貨店で購入したという商品の種類や数量が客観証拠と矛盾す
ること,当時,Aは統合失調症を患い,公判廷でも,興奮すると意味不明なことを
つぶやくなどの証言状況にあったことなどに照らすと,Aは,被告人が偽札の所有
者であるとの思い込みに基づいて,事実と異なる証言をした疑いがあるから,Aの
証言は信用できない。そして,偽造1万円札の所有

主文(判決文より)

原判決を破棄する。
本件を東京地方裁判所に差し戻す。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。