事件の基本情報
| 裁判所 | 鹿児島地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和5(わ)155 |
| 判決日 | 2024-05-28 |
| 分類 | 民事 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点は被告人の殺意の有無であるところ、当裁判所が、被告人には被害者 に対する殺意があったと判断した理由は次のとおりである。 関係証拠によれば、①判示刃物(以下「本件刃物」という。)は、鋼質製の食卓用 ナイフを研いで加工したもので、鋭利な先端を備え、人を殺傷する能力があること、 ②被告人は、至近距離(被告人自身の言によれば15㎝)で被害者と正対し、本件 刃物を被害者の腹部付近に向けて複数回突き出したこと、③その結果、被害者は、 左胸部(2箇所)と腹部(3箇所)に刺創を負い、腹部の2つの刺創が腹腔内に達 し、うち1つの深さは約9.5㎝で前上膵十二指腸動脈に達していること、④救急 搬送された被害者に対する輸血量は約4600ml であり、被害者の体格に照らすと おおむね体内の血液の総量に等しく、救命措置がなければ被害者が死亡する危険が あったことが認められる。これらの事実から、客観的に見て、被告人の行為が、人 が死亡する危険のある行為であったことは明らかといえる。 その上で、本件刃物を研いだのは被告人自身であり、これを日常的に使用もして いたことからすると、被告人は、本件刃物の危険性を十分に分かっていたといえる 上、上記のとおり、これを正対した被害者の腹部付近に向け至近距離から突き出し ていることからすれば、被告人は、自身の行為で被害者が死亡する危険があること も分かっていたといえる。 これに対し、弁護人は、本件刃物の切れ味は野菜を切るのにも力を要する程度の ものであったし、本件刃物が被害者の身体に刺さった感覚も全くなかったから、被 告人は、自身の行為が被害者が死ぬ危険性が高い行為であるとは認識していなかっ た、などと主張する。しかし、本件における刃物の用法は切る動作ではなかったか ら、仮に先端部分以外の刃の切れ味がよくなかったとしても、行為の危険性が直ち に下がるわけではない。先端の鋭利な形状からして、本件刃物を刺突すれば人体に 刺さる危険があることは、一見して容易に認識できる。また、上記の被告人と被害 者の位置関係や、創傷の数、部位及び程度からすると、握力が弱いなどの被告人の 手の状態を踏まえても、刃物が被害者の身体に当たった感覚が全くなかったとの被 告人の弁解は不合理で信用し難い。弁護人の主張は採用できない。 以上によれば、被告人は、被害者に対し、人が死ぬ危険性が高い行為をそれと分 かって行ったといえ、殺意があったと認められる。 (量刑の理由) 人体の枢要部である腹部に向けて、鋭利な刃物を複数回突き刺した危険な犯行で ある。救命措置がなければ被害者が死亡していた可能性も十分に考えられ、1か月 間と比較的長期の加療を要する傷害を負わせた点も含め、結果は重い。強い殺意が あったわけではなく、酒に酔った被害者の心ない罵声が犯行を誘発した点で、動機 及び経緯には
主文(判決文より)
被告人を懲役3年に処する。 未決勾留日数中200日をその刑に算入する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予し、その猶予の 期間中被告人を保護観察に付する。 鹿児島地方検察庁で保管中の刃物1丁(令和5年領第692号符号1) を没収する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。