事件の基本情報
| 裁判所 | 和歌山地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和7(ワ)106 |
| 判決日 | 2025-06-04 |
| 分類 | 民事 |
| 判決文が挙げた条文 | 民法985条1項、民法986条1項 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点(1)主位的請求の確認の利益 原告は、本件遺贈放棄の無効を確認することにより、①本件各不動産に係る警 備費用等並びに遺言者の法定相続人に係る②固定資産税及び③相続税の負担と いう不利益を含めた紛争の抜本的解決を図ることができるから、確認の利益があ ると主張する。 しかし、本件遺贈放棄が無効であるとすれば、本件各不動産の所有権は本件遺 贈により被告に移転するから、本件遺言の遺言執行者である原告は、遺言執行事 務として、被告に対し、別紙物件目録1ないし5記載の土地建物については遺言 者から被告への所有権移転登記手続を求めることができ(いわゆる登記引取請 求)、同目録6ないし11記載の建物についても、その所有権が被告にあること の確認を求める訴訟を提起することが可能である。このように、現在の法律関係 につき給付又は確認請求として構成することが可能であり、本件の紛争解決のた めに直截的な方法がある以上、過去の法律行為の有効無効を確認するという原則 として確認の利益がなく、かつ、迂遠な方法をとる必要性は見当たらない。 原告が指摘する上記①ないし③の不利益は、①は事実上の経済的負担にとどま り、上記の直截的な方法によっても解決可能であるし、②及び③は、本件の当事 者ではない遺言者の法定相続人に係る負担をいうものにすぎず、確認の利益を基 礎付けるものではない。 そのため、主位的請求に係る訴えについては、確認の利益が認められないから、 不適法な訴えとして却下すべきである。 2 争点(2)本件遺贈放棄が信義則に反して無効か (1)遺言は、遺言者の死亡の時から効力を生じ(民法985条1項)、遺言者は、 いつでも遺言を撤回し(同法1022条)、あるいは、前の遺言と抵触する新た な遺言や生前処分をすることができる(同法1023条1項、2項)ことから すると、遺言は、遺言者の生前には何ら法的効果を有しないと解される(最高 裁昭和30年(オ)第95号昭和31年10月4日第一小法廷判決・民集10 巻10号1229頁参照)。また、受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも遺贈の 放棄をすることができ(同法986条1項)、遺贈の承認及び放棄の撤回が制 限される(同法989条1項)ものの、上記のとおり、遺言は遺言者の生前に は何ら法的効果を有しないから、遺贈の承認又は放棄の撤回が制限されるのは、 遺言者の死亡後に遺贈の承認及び放棄の撤回をした場合に限られるものと解 される。 以上のような民法の定め及び解釈に照らすと、遺言者の生前においては、受 遺者及び遺言者の双方にとって、遺言の内容がそのとおりに実現されることに ついて期待を抱いたとしても、それは事実上のものにとどまり、法的保護に値 しないものと解される。そうすると、遺言者の生前に受遺者によって遺贈を受 け入れる旨の意向が表明され、遺言者が自らの
主文(判決文より)
1 原告の主位的請求に係る訴えを却下する。 2 原告の予備的請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。