国家賠償請求事件

事件の基本情報

裁判所熊本地方裁判所
事件番号平成29(ワ)689
判決日2020-02-26
分類行政
判決文が挙げた条文刑事訴訟法439条1項1号、国家賠償法1条1項、憲法14条1項、憲法37条1項

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点は,①菊池事件について,検察官が再審請求をしなかったことが国
家賠償法上違法であるか,②原告らの損害である。
争点①について
【原告らの主張】
ア 菊池事件の審理が憲法に違反すること
菊池事件の審理は裁判所法69条2項に基づき菊池恵楓園又は菊池医
療刑務支所内の「特別法廷」で行われているところ,同項にいう「必要と
認めるとき」とは,被告人が極めて長期間の療養を要する伝染病疾病の患
者であって,裁判所に出頭させて審理することが不可能ないし極めて不当
であるなど真にやむを得ない場合に限られると解される。
しかし,ハンセン病がそのような疾病でないことは,菊池事件の審理が
開始された昭和27年当時の医学的知見等から明らかであるから,菊池事
件における開廷場所の指定は裁判所法69条2項に違反する。
そして,ハンセン病を理由とする開廷場所指定の上申が不認可とされた
例はなく,運用が定型的に行われていたこと,ハンセン病患者の裁判を一
般国民から隔離して行う目的で菊池医療刑務支所が設置されたことから
すれば,菊池事件における特別法廷の設置自体がハンセン病に対する強制
隔離政策の一環として憲法14条1項に違反するというべきである。特別
法廷がハンセン病患者に対する差別として憲法14条1項に違反するこ
とは,最高裁判所自身が最高裁調査報告を公表するに当たって認めたもの
である。
また,実際の審理においても,裁判官,検察官及び弁護人は,予防衣を
着用し,証拠物を箸で扱うといった差別的な対応をした。
したがって,菊池事件の審理は,ハンセン病に対する偏見に基づき,本
件被告人に対して差別的な取扱いをしたもので,憲法14条1項に違反す
る。
憲法37条1項,82条1項が定める裁判の公開原則は,裁判に対する
国民の信頼を確保し,一般国民による自由な傍聴を通じて裁判の適正を監
視し,これにより公正な裁判を保障するという重要な意義を有するもので
ある。したがって,裁判の公開とは,一般国民が自由に傍聴できる状態で
審理を行うことをいい,菊池事件の審理が公開原則を満たしていたか否か
は,裁判の告示がされていたかなどの形式面のみならず,菊池恵楓園や菊
池医療刑務支所がどのような施設であったかという実質面からも検討し
なければならない。また,特別法廷の本質がハンセン病患者に対する差別
であることを考慮すると,平等原則の視点から,ハンセン病患者以外の被
告人の場合と比較して実質的に公開されていたかも検討すべきである。
菊池恵楓園はハンセン病患者を隔離するための施設であったところ,菊
池事件の審理は施設内の患者地帯である旧説教所や旧自治会事務所等で
審理が行われていたから,一般国民は自由に立ち入ることができず,かつ,

主文(判決文より)

1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。