事件の基本情報
| 裁判所 | 新潟地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和5(わ)196 |
| 判決日 | 2024-05-20 |
| 分類 | 民事 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点は責任能力である。犯行当時、被告人は他の特定される抑うつ障 害を有していたことが認められるところ、検察官は、同障害はあったものの、完全 責任能力を有していた旨主張し、他方、弁護人は、同障害の影響により是非善悪の 判断能力及びその判断に従って行動を制御する能力が失われていたため、心神喪失 の状態にあった旨主張する。 そこで、以下、当裁判所が、被告人が心神耗弱であったと認定した理由について 説明する。 2 関係各証拠によれば、以下の事実が認められる。 被告人は、妻であるBと次男であるAと同居していたものであるが、令和3年頃、 被告人及びBのがんによる医療費の増加や、物価高などから経済的不安を抱えるよ うになり、令和5年2月頃になると、気分が乗らず、例年行っていた将棋や家庭菜 園の作業をすることができなくなった。被告人は、本件犯行の1週間ほど前から連 日不眠が続いたほか、これまでにない将来への不安や絶望感を感じていたところ、 同年3月12日夜、自殺を決意し、自分が死ぬとB及びAの生活が困難になるため、 2人とも死んだ方がいいと考え一家心中を決意した。被告人は、同月13日、自身 らの葬儀費用を用意するため銀行で定期預金を解約し、約100万円を「使って下 さい」と書いた封筒の中に入れ、遺書を作成した。本件当日である同月14日は、 「家族3人は倒れています」と書いた紙を貼った段ボールを玄関に置き、玄関ドア の鍵を開けた上で、本件犯行に及んだ。 被告人は、包丁でAの胸部等を多数回突き刺し、10か所もの刺創を負わせた。 そのうち3か所はいずれも創洞の長さが12センチメートル以上あり、最も長い創 洞は約16.5センチメートルにも及ぶもので、1つが致命傷となった。Bに対し ても胸腹部を1回突き刺し、創洞の長さ約15から16センチメートルにもなる全 治約3か月の胸腹部刺創を負わせた。その後、被告人は、自身の胸部を1回、腹部 を2回突き刺した。被告人の刺創は、胸部のものが一番深く、心膜の一部が損傷し ていた。 3 被告人の精神鑑定を行った精神科医Cは、公判廷において、上記の経過にお いて精神障害が犯行に与えた影響(機序)について、要旨次のとおり見解を述べて いる。 被告人は、本件犯行の2、3年前頃から、経済的な不安による慢性ストレス状態 であったところ、犯行の1か月前頃には、興味や意欲の低下の抑うつ症状が出現し、 犯行1週間前頃からは、不眠、気分の落ち込みや物事への興味や意欲の低下がより はっきりするようになった。犯行の2、3日前には急速にこれまでの不安に加えて 絶望感、悲観的思考、更には自殺念慮が高まり、「自分を含めてもはや家族は生き ていくことができない、解決方法はなく八方塞がりだ」などと考え、本件犯行を決 意した。経済的な不安からの慢性ストレス下において、徐々に抑う
主文(判決文より)
被告人を懲役3年6月に処する。 未決勾留日数中240日をその刑に算入する。 新潟地方検察庁で保管中の包丁1丁(令和5年領第295号符号111) を没収する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。