事件の基本情報
| 裁判所 | 福島地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成27(ワ)155 |
| 判決日 | 2018-02-20 |
| 分類 | 民事 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点は,①本件事故とDの自死との間に因果関係を認めることができ るか,②因果関係を認めることができるとした場合,Dの個体側の要因を理由 に損害額を減額すべきか否か,減額すべきとした場合,その減額の割合はどの 程度か,③D及び原告らの損害額,の3点である。 4 争点に関する当事者の主張 争点①(本件事故とDの自死との間に因果関係を認めることができるか) について (原告らの主張) ア Dは,次のとおり,本件事故に基づく事情を原因として適応障害に罹 患した結果,自死するに至ったものである。 Dが適応障害に罹患していたこと Dは,本件事故により楽しみにしていたデイサービスが中止された り,Dの自宅を訪れる者が減ったりするなどの日常生活の変化や,D にとって人生そのものであった飯舘村が放射能に汚染され,人の住め ない場所にされ,避難を余儀なくされることなどという耐え難いスト レス要因に短期間で遭遇した結果,適応障害となった。この点,精神 科医であるJ医師も,Dの周辺環境の調査結果や原告Aからの聴取り 内容,原告ら及び周辺住民の陳述書等に基づき,Dが,本件事故によ る村落の社会的動揺,迫りくる避難の負荷により,抑うつ気分に陥っ ており,ICD-10の診断基準を当てはめれば,適応障害であった 旨の精神鑑定書(以下「J鑑定書」という。)を作成している。 そして,精神障害により行動抑制力が阻害されることからすれば, Dは,適応障害により発作的に自死をするに至ったものであるといえ る。 Dの個体側の脆弱性について Dが高血圧症や狭心症等の疾病を有していたこと,Dが昭和54年 7月頃に脳梗塞を患ったこと,Dの障害高齢者の日常生活自立度が 「B1」,認知症高齢者の日常生活自立度が「Ⅲa」と判定されてい たことは,Dが当時102歳であったこと等を考慮すれば,いずれも 一般人に通常想定される個体差の範囲を超えた疾患とはいえない。ま た,Dが精神障害の既往症は存在せず,Dの家族にもそのような疾病 を有していた者がいなかったこと等からすれば,他にDの脆弱性が認 められる事情もない。 上記事情に加え,Dは,平成23年4月11日に飯舘村が計画的避難 区域に指定されることを知ったことを契機に自死したことからすれば, Dは,本件事故に基づく事情を原因として適応障害に罹患した結果,自 死するに至ったものといえる。 イ 被告の予見可能性 福島第一原発を設置,運転する原子力事業者である被告においては, 原子力発電所がひとたび過酷事故を起こせば,周辺地域を中心に深刻な 被害を生じさせることは容易に想像することができる。そして,被告に おいて,福島第一原発が過酷事故を起こせば,福島県を中心とする周辺 住民が避難を強いられることになり,周辺住民がそれまでの日常生活を 奪われるストレスや避難を余儀なくさ
主文(判決文より)
1 被告は,原告Aに対し,860万円及びこれに対する平成23年4月13 日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告Bに対し,330万円及びこれに対する平成23年4月13 日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告Cに対し,330万円及びこれに対する平成23年4月13 日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,これを5分し,その2を原告らの負担とし,その余を被告の 負担とする。 6 この判決は,第1項ないし第3項に限り,仮に執行することができる。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。