著作権に基づく差止等請求事件

事件の基本情報

裁判所奈良地方裁判所
事件番号平成30(ワ)466
分類知的財産
判決文が挙げた条文著作権法114条1項

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点及び争点に関する当事者の主張
原告作品の著作物性(争点1)
ア 原告の主張
原告作品は,公衆電話ボックス様の造作水槽内に金魚を泳がせ,受
話器部分から気泡を発生させている公衆電話機が同造作水槽内に設
置された作品であるところ,街中に存在する公衆電話ボックス様の
造形を水槽に仕立て,公衆電話機も設置された状態で,金魚を泳がせ
るという斬新な選択によって,一般人にも興味を引く表現となって
いる。
受話器から気泡を生じさせる表現は,まさに原告の個性の表れで
あり,水槽内に空気を送り込むために必然的に生じるアイディアで
はない。水槽内に空気を送り込むためには,ろ過装置やエアストーン
を別途水槽底部に設置して空気を送り込むことが機能上最適である
し,他の類似作品については,受話器から空気は出ていない。このよ
うに,原告作品は相当の工夫が施され,原告の個性が発揮されている
ものであり,原告の思想又は感情が創作的に表現されたものである
から,著作物性が認められることに疑いの余地はない。
被告らの後記イの主張は,表現物をアイディアと言い換えたにす
ぎない。
被告らが指摘する作品の多くは,既存の水槽を水槽以外の物品に
組み込んだものにすぎず,そもそも原告作品と類似する表現ではな
いし,それ以外のものも,原告作品及び被告作品の影響を受けて作成
された模倣品であるから,原告作品の創作性を否定することにはな
らない。
イ 被告らの主張
原告の発想の中核は,公衆電話ボックスに金魚を「入れる」という
点に集約される。公衆電話ボックスの形状及び金魚の形状は限定さ
れており,誰が表現しても同様の表現にならざるを得ない以上,この
発想自体がアイディアにすぎず,著作権法上の保護の対象となるも
のではない。
また,公衆電話ボックスのような水槽以外の用途で制作されたも
のにつき,あえて金魚を入れて鑑賞に供するという表現は,奈良県大
和郡山市においては,公衆電話ボックス以外にも自動販売機や自動
改札機等を用いて多数行われており,諸外国においても公衆電話ボ
ックスに金魚を入れて展示する作品は複数あることからすれば,公
衆電話ボックスに金魚を入れるという表現は,原告の個性を反映し
たものともいえない。
原告作品が受話器部分から気泡を発生させている点についても,
重要な創作性の要素とはならない。金魚を飼育する際に,水中への空
気の注入は必須である一方,受話器は通気口によって空気が通る構
造をしていることから,公衆電話ボックスに金魚を入れるという選
択をした時点で,受話器から気泡が生じるというデザインのアイデ
ィアは必然的に生じるものといえるからである。
被告作品による原告作品の著作権侵害の有無(争点2)
ア 原告の主張
原告作品と被告作品は,①外観上ほぼ同一形状の公衆電話ボック
ス様の造作水槽内に金魚

主文(判決文より)

1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。