殺人未遂被告事件

事件の基本情報

裁判所大分地方裁判所
事件番号令和5(わ)232
判決日2025-02-26
分類民事

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点は被告人の責任能力の有無・程度であり、検察官は完全責任能力を主
張するのに対し、弁護人は心神喪失を主張する。
第2 当裁判所の判断
1 本件犯行の動機・経緯に関する被告人供述の信用性
被告人は、当公判廷において、本件犯行の動機・経緯が判示のとおりであったこ
とを供述した上、「捜査段階では、同情されて刑が軽くならないよう、当該社長の
ことを捜査機関等に話さなかったが、令和6年12月、同人の下での生活ぶりを記
載した日記を読まれれば隠し切れないと思い、弁護人らに話すことにした。本件犯
行の際、被害者が意識を取り戻したのを見てもとどめを刺さなかったのは、自分の
欲が満たされたからである」などと供述する。
被告人が判示のような性的嗜好(以下「本件性的嗜好」という。)を有していた
ことは、女性の首を絞める内容を含むアダルトサイトへのアクセスが複数回確認で
きたことによって裏付けられており、当事者間にも争いがない。また、関係証拠に
よれば、被告人は、本件当時、当該社長の下で同僚らと共に同居生活を送っていた
ところ、そこでは、罰ゲームや罰金と称した当該社長による暴力的言動や経済的搾
取が横行していたようである上、借金の返済と称して給与から相当額を天引きされ
ていたこともあり、日中の本業に加えて夜間にも犯行現場となったA等でアルバイ
トをしていたことが認められ、これらの事情は被告人の供述と整合するし、被告人
が本件犯行直後自首したことも裏付けとなる。そして、供述経過についての説明内
容や、被害者にとどめを刺さなかった理由について述べるところも、不合理とは断
じ得ない。以上によれば、被告人供述の信用性を排斥することはできない。
2 被告人の責任能力の有無・程度
捜査段階で精神鑑定を担当したC医師と弁護人の依頼を受けて鑑定書を作成した
D医師は、いずれも、被告人の前記供述を前提にすれば、被告人は、当該社長によ
る虐待・搾取をきっかけに、同人から逃げて刑務所に行くため、かねてより有して
いた本件性的嗜好に基づいて本件犯行に及んだことになる旨の意見を示しており、
本件犯行の動機形成過程には、発想の飛躍が見られるとともに、普通一般とは異な
る特別な性的嗜好の影響が認められる。
しかし、被告人は、長年にわたって本件性的嗜好を有していたものの、人の首を
絞めることは悪いことだと理解して本件まで実行せず、本件の2か月ほど前から実
行を意識するようになっても、勇気が出なかったとして実行せずにいた上、本件犯
行時は悪いことをしているとの認識からドキドキし、本件犯行直後も自首している
ことからみて、人の首を絞めて殺すことが悪いことであるとの認識を有していたと
いえる。また、本件の2か月ほど前から、人目につかない休憩室で実行しよう、警
戒心を持っていない被害者を対象にしようなどと犯行計画

主文(判決文より)

被告人を懲役4年6月に処する。
未決勾留日数中350日をその刑に算入する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。