強盗殺人被告事件

事件の基本情報

裁判所広島地方裁判所
事件番号平成27(わ)655
判決日2016-05-27
分類民事
判決文が挙げた条文刑事訴訟法181条1項、刑法21条、刑法240条

この事件の代理人

争点(判決文より)

争点に対する判断及び事実認定の補足説明)
1 被告人が被害者所有の現金を奪う決意をした時点
この争点に関する被告人の公判供述は,被害者方6畳間のベッドに座っていた
被害者の背後に回ってその口と鼻を両手で塞いでいる最中に,被害者が「やめえ
や。借金もチャラにしたるから,金もあるだけ持って帰れ。」などと言ってテー
ブル上に財布を投げつけ,その財布から札が出ているのが見えた,心臓が悪く口
や鼻を塞げば簡単に殺せると考えていたのに被害者に抵抗されたので被害者を
制圧して殺害することに集中しており,そのときは,お金のことを考える余裕が
なかったというものである。そして,検察官は,犯行状況に関する被告人の同供
述を前提として,財布から札が見えた時点で欲が出てお金を取ろうと思った旨の
供述が記載された被告人の検察官調書(乙5)に基づき,被害者がテーブル上に
投げつけた財布から札が出ているのを被告人が見た時点で現金を奪う決意をし
たと主張する。しかし,当時の取調べ状況を見ると,検察官が正に「お金が見え
た時点」の被告人の内心を問うているのに対し,被告人は,その「お金が見えた
時点」を,財布から札が出ている状況を「初めて見た時点」であるのか,あるい
は,その後被害者方を立ち去るまでの間に見たという「幅のある時点」であるの
かを明確に区別して供述しているのか疑わしい。上記検察官調書の供述記載を文
字通り理解することは相当でない。さらに,被告人が供述する犯行状況を前提と
すれば,被告人が,当時,生活費に困っていたことなどの検察官主張の事情を考
慮しても,現金を見た瞬間にこれを奪うことまでとっさに思いが至らないことは
十分にあり得る。
以上によれば,検察官の上記主張について,常識的に考えて間違いないといえ
るだけの立証はなく,被告人が公判で供述するとおり,殺害行為の終了後に現金
を奪う決意をしたものと認定した。
2 被告人が被害者の胸部をガラス製の灰皿で殴打した事実の有無
検察官は,被告人が被害者の胸部を灰皿で殴った旨主張するのに対し,被告人
は,犯行状況に関し,被害者の口と鼻を両手で塞ぐなどしてもみ合っていると被
害者がベッドから落ち,テーブルとの間に身体の左側を下にして横たわった,ほ
とんど動かなかった被害者に止めを刺そうと考え,ビニールひもで首を絞めよう
としたがうまくできず,続いて,頭にビニール袋をかぶせ,テーブル上に置いて
あったガラス製の灰皿を右手に持ち,被害者の頭の辺りに両膝を着き,肩くらい
の高さまでその灰皿を振り上げて10回くらいビニール袋の上から被害者の頭
を殴った,被害者の胸を灰皿で殴ってはいないなどと供述する。
被告人の同供述は,事件直後に被害者の遺体がベッドとテーブルの間の狭い空
間に左側を下にして横たわっていた状況や被害者の頭部の損傷がほぼ右側に集
中し

主文(判決文より)

被告人を無期懲役に処する。
未決勾留日数中150日をその刑に算入する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。