事件の基本情報
| 裁判所 | 広島地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成30(わ)188 |
| 分類 | 民事 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点は,犯行当時の被告人に幻聴が認められるか,また,被告人の 統合失調症及び中等度の知的障害が責任能力に影響するかという点にある。 当裁判所は,被告人は完全責任能力であったと認めたため,その理由を補足して 説明する。 2 犯行当時の幻聴の有無及び統合失調症の犯行に与えた影響について 以下のとおり,H医師の証言や犯行前後の被告人の言動,犯行に関する被告人の 供述からすれば,犯行当時,少なくとも,本件犯行に影響を及ぼすような幻聴はな く,統合失調症が犯行に与えた影響はなかったものと認められる。 ⑴ H医師による鑑定について ア H医師の鑑定の概要 統合失調症は治療によって病状が治まった寛解状態であった。施設Bでの被告人 に対する不適切な介入で,被告人は精神的に不安定になっていたが,幻覚や幻聴, 妄想等(以下「幻聴等」という。)はなかったと考えられる。 その根拠は,①平成20年にA病院を退院してから本件犯行に及ぶまでの間も, 本件犯行後の捜査や鑑定留置の期間中も,統合失調症の病状に由来する言動が確認 できないこと,②鑑定留置期間中に幻聴等がある旨訴えているが,その内容を具体 的,詳細に話すことができず,幻聴等をうかがわせるおびえた態度等も見受けられ なかったこと,③鑑定留置が始まった当初は幻聴等の存在を自ら否定しており,H 医師が被告人に責任能力があると考えている旨を伝えた後で幻聴等を訴えるように なったこと等である。 イ H医師の鑑定の信用性 H医師は,精神鑑定の経験豊富な精神医学の専門家であり,その専門的知見に基 づいて幻聴等がなかったと判断している。さらにその判断過程を見ると,約3か月 にわたり鑑定留置を実施する中で可能な限り頻繁に被告人の様子を確認し,捜査記 録や被告人が通院してきた病院のカルテや診療録等の確認に加えて,担当医師に直 接話を聞くなどして,広範な鑑定資料に基づいて判断している。これらの事情から すればH医師の鑑定は信用できる。 これに対し,弁護人は,鑑定留置中にも幻聴等に関する言動があったはずである し,H医師が鑑定留置開始から17日後という早い時期に被告人に対して責任能力 があると思うと伝えた影響が大きいなどと主張する。しかし,被告人の統合失調症 が犯行に与えた影響を判断するために被告人の言動を引き出す鑑定手法として,早 い時期に責任能力について意見を被告人に伝えたことは,何ら不適切であったとは いえない上,被告人はH医師から意見を伝えられた後で幻聴等を訴えるようになっ たのであって,意見を伝えられたことによって幻聴等について話せなくなったとは 考えられないから,弁護人の主張は採用できない。 ⑵ 被告人の犯行前後の行動との整合性 ア 犯行前後の関係者とのやりとり 被告人は,犯行前,職員と電話をしていたが,そこでは「人を殺して自分も死ぬ
主文(判決文より)
被告人を懲役27年に処する。 未決勾留日数中280日をその刑に算入する。 広島地方検察庁で保管中の包丁3本(平成30年広地領第678号符号1 から3)を没収する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。