損害賠償請求事件

事件の基本情報

裁判所さいたま地方裁判所
事件番号平成20(ワ)247
判決日2010-03-09
分類民事
判決種別判決
判決文が挙げた条文国家賠償法1条1項

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点は,①亡Aの骨折が本件搬送により発生したものであるか否か
(争点1),②亡Aの骨折が本件搬送により発生したものであるとして,被
告救急隊員らに過失が存するか(争点2),③被告救急隊員らの違法性が阻
却されるか(争点3),④損害及び因果関係(争点4)である。
(2) 争点に関する当事者の主張
ア 争点1(亡Aの骨折が本件搬送により発生したものであるか否か)
(ア) 原告
本件搬送当時,亡Aの右肩は拘縮していて,右肩の可動範囲が外転7
0度程度,外旋10度程度に過ぎず,にもかかわらず,被告救急隊員ら
により,右肩の可動域を超え,かつ肩に自身の体重が加わる状態で搬送
されたこと,本件搬送以前は亡Aが痛がる様子は全くなかったこと,本
件搬送の途中で,亡Aがうめき声を発したこと,救急車に搬送された後
も亡Aは救急車内で苦しんでおり,Fが亡Aの右手で血圧を測ろうとし
たところ,亡Aが嫌がったため,左手で測定を行ったこと,本件搬送直
後に亡Aの右上腕骨頚部の骨折が判明したことの各事実によれば,本件
搬送により亡Aが骨折したことは明らかである。
(イ) 被告
亡Aの骨折が本件搬送により生じたとする客観的な証拠は存在せず,
原告主張の事実のみによって本件搬送から亡Aの骨折が生じたことを基
礎付けることはできない。
イ 争点2(被告救急隊員らに過失が存するか)
(ア) 原告
一般に救急隊員は,傷病者の観察,傷病者の事情の聴取を十分に行い,
適切な処置及び搬送を行う義務を負っており,また,救急出動において
は,ストレッチャーによる収容が原則とされている。
本件において,被告救急隊員らは,観察・事情聴取義務を怠り,亡A
が片麻痺であり,右肩関節に拘縮があること,失語の状態であることを
把握せず,原告が亡Aの麻痺の状態を強く訴え,搬送方法についての要
望を行っているにもかかわらず,既往症の確認を怠り,また,ストレッ
チャーによる搬送が物理的に可能であるにもかかわらず,ストレッチャ
ーによる搬送を行わず,肩関節に無理がかかる徒手搬送を行い,亡Aに
骨折を生じさせた。
(イ) 被告
亡Aに右片麻痺があるからといって,右肩関節が拘縮をしているとは
限らず,拘縮の程度も様々である。また,亡Aの右肩関節が拘縮してい
たとしても,抱きかかえ搬送によって骨折の結果が生じることは予見が
困難である。現に,亡Aの右手は肘を肩まで上げることはできたのであ
り,抱きかかえ搬送で骨折が生じるようなことはない。
また,原告からもおんぶして下さいといった指示がされたこともなく,
亡Aが呼吸苦を訴えており,横にすると苦しさが増加するためにストレ
ッチャーによる搬送を消極として,玄関まで歩いた上,外階段を抱きか
かえて搬送するとの選択をしたものであり,その選択も適切な選択で
あった。実際に,被告救急隊員ら

主文(判決文より)

1 被告は,原告に対し,金734万7795円及びこれに対する平成
18年1月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを4分し,その3を原告の負担とし,その余を被
告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。