敷金返還請求控訴事件

事件の基本情報

裁判所さいたま地方裁判所
事件番号平成21(レ)167
判決日2010-03-18
分類民事
判決種別判決
判決文が挙げた条文民法1条2項

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

本件の争点及び争点に対する当事者の主張
(1) 争点1
本件交付金は,敷金であり,全額返還請求できるか。
ア 控訴人の主張
本件交付金は,敷金契約に基づき差し入れた敷金である。D社は,控訴
人に対し,定額補修金費は,損害が多額に上っても,この額に限定するも
のであると説明した。したがって,定額補修金費の性質は,損害賠償額の
上限を定め,それを前払したものであり,損害が生じない場合は返還義務
を負うものであるから敷金である。
控訴人は,故意・過失で,本件貸室の柱,クロス及び床に汚損,破損を
生じさせたことはない。本件貸室には表面上現れた柱は存在しないから,
柱のキズは生じようがない。控訴人は,通常の清掃をした上で退去してい
る。被控訴人が主張する汚損・破損は,賃料で負担されるべき通常の損耗
である。
したがって,本件交付金は全額返還されるべきである。
イ 被控訴人の主張
本件交付金は敷金ではない。定額補修費の5万円は,退去後の清掃・ク
リーニング費及び修繕費のうち,賃借人が分担する費用額であり,退去時
に返還する合意はない。ペット飼育の場合の増額分3万円は,ペットによ
る臭いを取るための清掃費,消毒費である。
賃借人の故意・過失により汚損・破損が生じた場合は,賃借人は定額補
修費の定額を超えて補修費を負担する義務を負う。賃借人の故意・過失に
よる汚損・破損でない場合,賃借人の負担は,定額補修費の定額に限定さ
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れる。
定額補修費については,D社が重要事項として説明し,控訴人は承諾し
ているはずである。
(2) 争点2
定額補修費の合意は,消費者契約法10条に違反し無効であるか。
ア 控訴人の主張
仮に,定額補修費の趣旨が,敷金ではなく,退去後のクリーニング費や
修繕費等の回復費用を本件交付金で賄い,これが本件交付金の額を下回る
場合にも返還義務が生じないという内容のものであるとすれば,定額補修
費の合意は,本来賃借人が負担しなくてもよい通常損耗部分の原状回復費
用の負担を強いるものである。
また,本件賃貸借契約では,ペット飼育を理由として月額2000円が
賃料に加算されているのであるから,ペット飼育による賃貸物件の劣化や
価値の減少については,賃料によって賃貸人が負担すべきである。
さらに,定額補修費が月額賃料の2倍を超えること,通常損耗費が定額
補修費より少ない場合にも,入居期間の長短に関わらず,差額を返還請求
できないこと,賃借人の故意・過失による汚損破損の場合には追加請求さ
れること,更新料6万2000円を支払っていることなどの事情に照らせ
ば,本件交付金の差入れ合意は,民法1条2項に反する。
したがって,定額補修費の合意は,消費者契約法10条に違反し無効で
ある。
イ 被控訴人の主張
本件交付金の差入れ合意は,消費者契約法10条に違反しない。
(

主文(判決文より)

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。