事件の基本情報
| 裁判所 | さいたま地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成22(ワ)3906 |
| 判決日 | 2012-10-10 |
| 分類 | 民事 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点及びこれに関する当事者の主張 (1) 被告において,石綿粉じんにより従業員に健康被害が発生することを予 見できた時期はいつか。 (原告らの主張) 海外においては,明治32年に最初の石綿肺についての報告がされ, 明治39年ころからは,欧米各国で石綿を扱う労働者にじん肺所見がみら れるとの報告が相次いだ。昭和5年には,20年以上石綿を扱う労働者 の66%が石綿肺に罹患していたことが報告され,昭和6年には,けい 肺を目的とする会議において,石綿の吸引によってじん肺が発生するこ とが示された。同年には,イギリスでアスベスト(石綿)産業規制法が 導入され,遅くともこのころには,石綿肺の危険性は国際的に広く認識 された。 日本国内においても,明治中ごろには,石綿がじん肺の原因になりう ることが広く知りうる状態となっており,昭和初期には,じん肺の一種 として石綿肺の危険性が認識されていた。昭和4年には,工場法及び同 法に基づく規則等により,粉じんの発散を防止すべく設備を設けること等 が定められた。 したがって,被告は,遅くとも昭和6年には,従業員が石綿粉じんに曝露 することにより重大な健康被害が生じる抽象的な危惧を持っており,この時 点で予見可能性があった。 (被告の主張) ア わが国において,石綿に起因する労働災害の研究が進み,その防止の具 体的な手段方法及び作業現場における対策等が定められたのは,昭和46 年4月28日に制定された特定化学物質等障害予防規則(以下「特化則」 という。)である。もっとも,特化則によっても,石綿粉じんの取扱いに ついて企業が採るべき具体的対策は明らかではなく,昭和54年4月25 日に,粉じん障害防止規則が制定されて初めて明らかとなった。 以上より,石綿粉じんへの曝露による健康被害について被告が予見可能 となったのは,粉じん障害防止規則の制定時である昭和54年4月25日 である。また,抽象的な危険を認知したのは,早くとも特化則の制定時で ある昭和46年4月28日である。 イ また,亡Fの死因とされている悪性胸膜中皮腫は特殊な病気であり, 医学的知見は最近にいたっても確定していない部分が多く残されてい る。それゆえ,中皮腫に関する予見可能性は,じん肺に関する予見可能 性とは別に検討する必要がある。被告は,中皮腫の発生を予見し得なか った時期においては,中皮腫に関する安全配慮義務違反の責任を負うこ とはない。労働基準法施行規則所定の業務上の疾病の例示として石綿に 曝露する業務による中皮腫を追加する改正が行われたのは,昭和53年 3月30日であるから,民間企業である被告は,少なくとも同日までに 石綿曝露によって中皮腫の発生を具体的に予見することは不可能であっ た。 (2) 被告に求められる安全配慮義務の具体的内容及び義務違反の有無 (原告らの主
主文(判決文より)
1 被告は,原告Aに対して,1375万円及びこれに対する平成23年2月1 0日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告Bに対して,1375万円及びこれに対する平成23年2月1 0日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告Cに対して,1430万円及びこれに対する平成23年2月1 0日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,これを2分し,その1を被告の負担とし,その余を原告らの負 担とする。 6 この判決は,第1項から第3項までに限り,仮に執行することができる。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。