殺人,薬事法違反被告事件

事件の基本情報

裁判所横浜地方裁判所
事件番号平成27(わ)281
判決日2015-11-16
分類民事

この事件の代理人

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争点(判決文より)

争点及び当事者の主張
殺人に関する争点は,被告人が犯行時に責任能力を有していたか否かである。
弁護人は,公判審理の結果を踏まえて,危険ドラッグ(ジフェニジン)による
急性薬物中毒の影響により,攻撃性・衝動性が高まり,被告人に両親を殺すこと
を思いとどまる能力が失われていた可能性を排斥できないとして,被告人の心神
喪失を主張する。これに対して,検察官は,急性薬物中毒が犯行に影響を与えた
こと自体は争わないものの,両親を殺すことを思いとどまる能力が著しくまでは
低下していなかったとして,被告人の完全責任能力を主張する。
2 当裁判所の判断
当裁判所は,被告人が犯行時に完全責任能力を有していたものと認めたので,
以下その理由を説明する。
犯行に影響を与えた危険ドラッグ
危険ドラッグの薬理作用等に関する専門家証人である丙医師は,被告人が最
後に使用したと考えられる危険ドラッグは,犯行後に被告人の尿,血液から検
出されたジフェニジンと2種類の合成カンナビノイドといわれる薬物であり,
このうち,合成カンナビノイドは,陶酔感を催し行動抑制的な薬理作用を有す
るので,犯行に対しては,ジフェニジンのもつ妄想,幻覚,攻撃的となる薬理
作用が働いたものと考えられると証言している。
他方,本件において被告人が使用した危険ドラッグの現物は残存しておらず,
これを直接鑑定することはできていない上,被告人の犯行前におけるその使用
量も不明である。そして,丙医師と同様に危険ドラッグの薬理作用等に関する
専門家証人である丁医師及び精神科薬理学の専門家証人である戊医師は,複数
の化合物が混ぜ合わされることの多い危険ドラッグがいつごろどのような効果
を発揮するのか必ずしも明らかではなく,とりわけ,ジフェニジンについては,
研究が不十分であり,その薬理作用は,類似の化合物から推認するほかないと
述べている。当裁判所は,このような専門家の証言及び犯行前に危険ドラッグ
を使用したという被告人供述を踏まえ,被告人が,犯行前に,ジフェニジンと
2種類の合成カンナビノイドを含んだ危険ドラッグを吸引又は誤食(バターな
どに混ぜて食べること)により何らかの量を摂取した,ということを前提とし
て,現に被告人がとった行動や症状を軸として,急性薬物中毒が犯行に与えた
影響を検討することとする。
動機に比してかなり残忍な犯行内容と被告人の平素の人格
被害者らの創傷の状況等に鑑みれば,犯行の態様は,包丁を用いて,強い力
で両親の首や胸等を多数回突き刺すなどして殺害するというものであり,強固
な殺意に基づくことが明らかである。被告人は,父親から叱責され,頭を小突
かれたことに怒りを覚えて,犯行に及んでいるので,このような犯行に及ぶ一
応の動機を見出すことはできるものの,被告人に平素は粗暴な傾向がなく,被
告人と両親の関係を

主文(判決文より)

被告人を懲役28年に処する。
未決勾留日数中150日をその刑に算入する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。