事件の基本情報
| 裁判所 | 横浜地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和4(わ)1033 |
| 判決日 | 2024-07-18 |
| 分類 | 民事 |
| 判決文が挙げた条文 | 刑事訴訟法181条1項、刑法25条、刑法25条1項、刑法45条、刑法66条、刑法190条、刑法199条 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点は、判示第1の事実について、被告人が、自己が出産した男児を、意 識的に、水中に放置した上、水中から一旦引き上げた男児を再び水中に沈める行為 に及んだか否かである。この点を判断するに当たって、最も重要な証拠は、その旨 を認める被告人の捜査段階の自白であり、その信用性が問題となっている。 2 被告人の捜査段階の自白について 被告人は、捜査段階において、出産時の状況について、要旨、「陣痛を感じて、 温まると共に赤ちゃんを水中に沈めて殺そうと考え、浴槽に湯を入れた。赤ちゃん を水中で出産し、臍の緒をつかんで自ら胎盤を出した。臀部に赤ちゃんが触れ、赤 ちゃんの動きを感じた。赤ちゃんを生かしたいという思いと殺さなければという思 いで葛藤して、赤ちゃんを一旦水中から引き上げた。その際、手指にドクンと心臓 の鼓動を感じた。その後、再び水中に沈めた。その後意識を失った。」と供述し、 その具体的状況を再現している(乙9及び12)。 ⑴ 検討 ア このような被告人の捜査段階における自白は、その内容において、出産に至 った経緯、出産時及びその後の状況に関し証拠上明らかに認められる事実関係に照 らして自然かつ合理的なものである上、男児の解剖結果等によく符合ないし整合す るものである。 すなわち、出産に至る経緯について、被告人は、妊娠を確信した後、人工妊娠中 絶をしようと考えたが、中絶費用がなく時期的にも中絶できず、その後も、妊娠の 事実を誰かに相談することも、母子手帳を取得するなどして胎内の子を育てていく ための行動を取ることも一切なかったと証拠上認められる。被告人が、このような 状況下で、胎内の子を出産した場合にその子が死んでも構わないと考えていたとい うのは、自然な発想である。 また、水中に出産した男児を一旦水中から引き上げ、その後再び水中に沈めたと いうのも、男児の死因が低酸素血症であることや、男児の胃に空気が入っているこ とと符合ないし整合する内容である。 さらに、出産後の状況について、被告人は、意識を取り戻した後も、水中に沈ん だ男児の様子を確認することもなく、そのまま水中に放置して、メッセージアプリ で交際相手や友人とメッセージを送信しあったり、男児の死体をビニール袋や紙袋 に入れたりしていると証拠上認められるところ、このような被告人の行動は、男児 の死が想定の範囲内の出来事であったことを裏付けるものといえる。 イ 加えて、被告人は、死体遺棄の事実での逮捕当日(令和4年5月10日。以 下「逮捕当日」という。)に行われたA警察官による取調べにおいて、誘導を受け ることなく、「赤ちゃんを浴槽内にお湯を張って水中で出産した」「赤ちゃんを水 中から一旦引き上げた後、また溺死させて殺した」「赤ちゃんの心臓の鼓動を感じ た」などと、同警察官が把握していない相応に具体的な事実
主文(判決文より)
被告人を懲役3年に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予し、その猶予の期間中被 告人を保護観察に付する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。