損害賠償請求事件

事件の基本情報

裁判所横浜地方裁判所
事件番号令和5(ワ)3101
判決日2025-04-25
分類民事
判決種別判決
判決文が挙げた条文刑法204条、民法713条

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点及び当事者の主張
⑴ 不法行為の故意の有無(争点1)
(原告らの主張)
本件加害行為は原告らに対する故意による傷害行為(刑法204条)であり、
被告は原告らに対して、不法行為による損害賠償責任を負う。
(被告の主張)
被告の行為は故意によるものではない。
⑵ 被告が本件事件時、責任弁識能力を欠いていたか(民法713条本文)(争点2)
(被告の主張)
G医師による令和5年9月30日付け精神鑑定書(乙2)及び本件の刑事事件
におけるG医師の証人尋問調書(乙5。以下、この両者を併せて「本件鑑定」とい
う。)によれば、被告は、本件事件当時、せん妄を伴うアルコール中毒にり患して
おり、そのために意識障害の状態にあった。これにより、本件事件当時、被告には
著しい認知障害・判断力低下が生じており、自らの行為の意味・影響を適切に理解
できない状況に陥っていた。かかる精神症状は酩酊の分類として広く用いられて
いるBinderの分類(1935年)にいう病的酩酊に該当するのであり、被告
は本件事件当時「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状
態」(民法713条本文)にあったから、被告はその間に生じた損害について賠償
責任を負わない。
(原告らの主張)
本件事件に係る刑事事件(横浜地方裁判所横須賀支部令和4年(わ)第156
号)についての同庁令和6年9月26日判決(甲77。以下「本件刑事事件判決」
という。)は被告に本件事件時に完全な責任能力があったと認定しており、かかる
認定からも、被告の主張が認められないことは明らかである。また、被告は、本件
事件の前後に渡って病的酩酊状態であればできないはずの合理的な判断や行動を
とっており、この点からも被告の主張は認められない。
⑶ (上記⑵につき民法713条本文の適用が認められる場合)責任無能力に陥っ
たことについての故意又は過失の有無(民法713条ただし書)(争点3)
(原告らの主張)
仮に被告が相当の酩酊状態にあったとしても、被告は自ら多量の酒を飲んで酩
酊したにすぎず、被告もそれを自覚しているのであるから、自らの意思で故意又
は過失により一時的に招いたものであり、被告は原告らに対する損害賠償責任を
負う。仮に脳損傷による影響があったとしても、そうであれば被告は通常人以上
に飲酒を厳しく控えるべきであったのに、それを怠って大量の多量の飲酒をした
のであるから、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときを否定する
事情にはなり得ない。
(被告の主張)
被告がアルコールの影響によってせん妄を伴う急性アルコール中毒に陥ったの
は、2015年に経験した脳損傷による高次脳機能障害の影響によるものである
と考えられるため、上記意識障害は被告が故意又は過失により招いたものではな
い。
⑷ 原告Aに生じた損害の有無及びその

主文(判決文より)

1 被告は、原告Aに対し、973万9094円及びこれに対する令和4年7月9日
から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
2 被告は、原告Bに対し、569万2649円及びこれに対する令和4年7月9日
から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
3 被告は、原告Cに対し、55万0980円及びこれに対する令和4年7月9日か
ら支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
4 被告は、原告Dに対し、48万5230円及びこれに対する令和4年7月9日か
ら支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
5 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
6 訴訟費用は、これを30分し、その7を原告らの負担とし、その余を被告の負担
とする。
7 この判決は、原告ら勝訴部分に限り、仮に執行することができる。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。