殺人

事件の基本情報

裁判所横浜地方裁判所
事件番号令和5(わ)1206
判決日2025-07-23
分類民事

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点に対する判断)
検察官は、被告人がうつ病にり患していることを前提としても、本件各犯
行当時、完全責任能力であったと主張し、他方で、弁護人は、本件各犯行当
時、被告人がうつ病の影響により行動制御能力を欠いていたので心神喪失で
あったと主張する。
C医師は、本件各犯行当時、被告人がうつ病にり患しており、その精神症
状としての希死念慮が悪化した状態にあり、それまで抱いていた両親に対す
る否定的な思いを強め、両親の殺害を決意したものであって、本件各犯行の
動機の形成にはうつ病が影響を及ぼしているとの鑑定結果を示した。
C医師の鑑定結果については、同医師の経験や医学的な知見に照らして十
分尊重でき、うつ病が本件各犯行の動機形成に影響を及ぼしたものと認めら
れる。
是非弁別能力について検討してみると、被告人の犯行後の言動、具体的に
は各遺体に布団をかけて自らの犯行が発覚しないように工作をしたこと、青
色ノートには自らの行為が犯罪であると認識している記載があること、最終
的には警察に出頭していることからすると、被告人が本件各犯行当時、自ら
の行為についての善悪を判断する能力は十分あったと認められる。
次に、行動制御能力について検討してみると、被告人は、本件以前も、自
室に包丁を隠し持って、両親を殺害する機会をうかがっていた上、本件各犯
行当日は、包丁やタオルのほか、軍手を準備して、母が一人であることを確
認した上で犯行に及んでいる。殺害行為自体も、母や父が声をあげないよう
に口をタオルで塞いだ上で首を絞め、さらに、仰向けにした母や父に馬乗り
になり、包丁で首を刺して致命傷を負わせている。母を殺害した後は、父の
帰宅を待ち、帰宅したことを察知するとドアの後ろで待ち伏せしたほか、一
度首を刺された父が声を発した際、父を確実に殺害するため、刃が折れた包
丁の代わりに新たな包丁を取りに行くなど、両親を殺害するという目的を遂
げるため、その場の状況に応じて自ら考えて冷静に行動しているものと認め
られる。さらに犯行後、被告人は、両親の鞄から現金を抜き取りパチンコを
するなど自らの欲求を満たす行動をしていたことなどからすると、犯行の動
機や意思決定の過程にはうつ病が影響していると認められるものの、被告人
は、本件各犯行当時、自らの判断に従って行動をコントロールしていたと認
められる。
以上から、被告人は、本件各犯行当時、是非弁別能力や行動制御能力が失
われておらず、著しく低下もしていなかったと認められる。
(量刑の理由)
本件は、被告人が両親を殺害した事案であり、二人の命を奪ったという結
果は重大である。その犯行態様も、声をあげないようにタオルで口を塞ぎ首
を絞めるなどした上で、仰向けにした母や父に馬乗りになり、その前頸部に
包丁をそれぞれ10センチメートル程度の深さまで突き刺し、

主文(判決文より)

被告人を懲役28年に処する。
未決勾留日数中480日をその刑に算入する。
横浜地方検察庁において保管中の包丁(切先が欠けたもの)1本(令和6
年領第727号符号52)、包丁の切先部分1個(同号符号69)及び包丁
(柄が木製のもの)1本(同号符号85)を没収する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。