事件の基本情報
| 裁判所 | 京都地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成20(ワ)1480 |
| 判決日 | 2010-05-13 |
| 分類 | 行政 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 国家賠償法1条1項 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点 (1) aが自殺したことにつき,被告職員らに過失があったか。 (原告の主張) 被告職員らは,医療少年院の運営に関わる者として,被収容者に対し,そ の身体の安全を適切に管理すべき安全配慮義務を負っているところ,被告職 員らには,次のとおり,安全配慮義務(ベルトを貸与しない注意義務又はa を監視すべき注意義務)を怠った過失がある。 ア 自殺防止に関する一般論 一般に,自殺の危険因子として,①自殺未遂歴,②精神障害の既往,③ サポートの不足,④性別,⑤年齢,⑥喪失体験,⑦性格傾向,⑧他者の死 の影響,⑨事故傾性及び⑩児童虐待といったものがある。また,自殺直前 のサインとして,①重要なつながりのあった人の直前の自殺,②自殺のほ のめかし,③喪失体験,④日常生活における行動や性格の突然の変化,⑤ 身なりの突然の変化,⑥過度に危険な行為の実行,⑦別れの用意をするこ と及び⑧実際の自傷行為の実行などがある。 個々の事例においては,このような危険因子及び自殺直前のサインを含 む具体的事情に基づいて判断することにより,自殺の予見可能性を相応の 程度に判断することができるのであり,自殺を予見してこれを防止するこ とがおよそ不可能であるということはない。 イ aの自殺の予見可能性 (ア) aは,本件鑑別所に入所中,複数回の自傷行為に及んだり,著しい 心情不安定に陥ったりしていたため,自殺,自傷及び逃走についての「要 注意者」に指定されていた。本件鑑別所は,本件少年院に対し,aの入 - 3 - 所中の動静を記録した少年簿などを送付していた。 (イ) 本件少年院に入院したaを診断した医師は,aを,療養指示により, 自殺,自傷及び衝動行為についての「要注意者」に指定し,aへ投与す る鎮静剤を増量した。 (ウ) さらに,aは,本件鑑別所において,抗精神病薬であるリスパダー ル及びセロクエルを服用していたが,本件少年院に入院中もこれらを服 用していたところ,これらの薬は,自殺企図の既往及び自殺念慮を有す る患者については,症状を悪化させるおそれがあるとされていた。 以上によれば,aには自殺の危険因子及び自殺直前のサインの存在が認 められるから,自殺企図の危険性があったことは明らかであり,被告職員 らは,aが,ベルトを用いて縊頸するなどの自殺行為を行うおそれがある ことを,容易に予見することができた。 ウ 注意義務違反の内容 (ア) aに対しベルトを貸与しない義務 被告職員らは,上記のとおり,aが自殺することを予見することがで きたところ,本件少年院は隔離された閉鎖施設であり,自殺手段の入手 方法は,開かれた一般社会におけるそれと異なり,極めて限られていた のであるから,aが自己のベルトを用いて,縊頸の方法により自殺する ことは容易に予測可能であった。 そして,入院後のaには,症状の著
主文(判決文より)
1 被告は,原告に対し,822万1246円及びこれに対する平成19年6月 25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを5分し,その2を被告の負担とし,その余を原告の負担 とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。