事件の基本情報
| 裁判所 | 東京高等裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和3(ネ)2839 |
| 判決日 | 2021-11-18 |
| 分類 | 民事 |
| 判決種別 | 判決 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点 (本件記事①が一審原告らのプライバシーを違法に侵害する か。)について (一審原告らの主張) ア 報道の自由は,個人のプライバシーに当然優先するものではなく,報道 の自由とプライバシー保護との利益衡量によってその優劣が決せられる べきものである。一審被告は,本件記事①において,逮捕された被疑者で ある一審原告らの氏名,年齢,職業に加え,住所について,町名(何丁目 など)にとどまらず地番まで掲載した。しかし,住所は,みだりにこれを 公表されたくないと考えるのが自然なプライバシーに係る情報として法 的保護の対象になる。犯罪報道において,被疑者が特定されれば,事実上, 有罪が確定していると受け止められることも少なくなく,広がった消極 的な風評を事後的に回復するのは容易ではないのであるから,氏名,年齢 を公表することは慎重でなければならないが,ましてや,これに加えて, 住所の地番まで公表する必要は一般には存在せず,同じ町内で混同され て風評被害を受ける別人がいることを防ぐ機能があるということは現実 的でない。それにもかかわらず,住所の地番まで公表されれば,不特定者 からの嫌がらせの郵便物がそのまま届くなど,加害行為の可能性が生じ たりして,対象者の私生活上の平穏が甚だしく侵害されるおそれがある。 実際,ほとんどの新聞では,犯罪報道において,被疑者の住所として地番 までは公表していない。一審被告は,本訴提起後も,漫然と多数の被疑者 の住所の地番を公表してきたが,令和3年5月20日付け朝刊から,事 件・事故報道に関する当事者の住所につき原則として「丁目」までとする ことを決めたのであり,本件記事①の掲載に責任がないという主張は許 されない。 イ 一審被告の主張する後記アの判断基準は,私人に対する権利侵害を対 象とするものではない。表現の自由の優越的地位は,権力に敵対し,市民 の自由・民主主義を確保する防衛の論理として成立したものであり,営利 の論理が是認される企業が対立する市民の利益に当然に優越する理由に はならない。報道機関の表現の違法性が否定される範囲は,報道とそれに より侵害される人権との間で利益衡量により定める必要がある。 (一審被告の主張) ア 民主主義の根幹を支える表現の自由は,一般的には個人のプライバシ ーに対して優越的地位を有し,表現行為が許容される限度を逸脱するも のでない限り保護されるべきである。特に,本件記事①のような純粋な 逮捕報道は,表現行為一般の中でも,警察等による逮捕権の行使を監視 し国民の知る権利に応えるというその意義に鑑み最大限保護されるべき であることからすると,表現内容や方法が不当なものでない限り,表現 行為の違法性が阻却されるという判断基準を採るべきである。本件記事 ①は,犯罪捜査の進捗という社会の正当な関心事に関するもので
主文(判決文より)
1 一審被告の控訴に基づき,原判決中一審被告敗訴部分を取り消す。 2 上記の部分につき一審原告らの請求をいずれも棄却する。 3 一審原告らの控訴及び当審における謝罪文掲載請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,第一,二審とも一審原告らの負担とする。
出典
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