事件の基本情報
| 裁判所 | 京都地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和2(わ)1065 |
| 判決日 | 2021-12-13 |
| 分類 | 民事 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点等 被告人が,うつ病の影響で判示殺人の犯行(以下「本件犯行」ともいう。)に及 んだことは関係各証拠によって十分に認められ,当事者間でも争われていない。 本件の争点は,被告人の責任能力の有無である。検察官は,本件犯行には,正常 な精神作用に基づく判断によって犯したといえる部分もあり,本件犯行を思いとど まる能力は残っていたから心神耗弱にとどまると主張するのに対し,弁護人は,被 告人は,うつ病の圧倒的な影響のため犯行を思いとどまる能力は残っていなかった として,心神喪失の状態にあったから被告人は無罪であると主張する。 当裁判所は,本件犯行当時,被告人が心神喪失の状態にあった疑いはなく,心神 耗弱の状態であったと判断した。以下,その理由を補足して説明する。 第2 当裁判所の判断 1 被告人の精神障害について 起訴前に被告人の精神鑑定を実施した精神科医である証人Bの証言によれば,被 告人は,本件犯行当時,うつ病及び強迫性障害を患っており,両障害の程度はいず れも中等症であったことが認められる。B医師は,豊富な鑑定経験を有する精神科 の専門医であって,その公正さや能力に疑いはなく,その鑑定の基礎となった資料 や鑑定手法にも問題はないから,被告人の障害が本件犯行に与えた影響の有無,程 度について述べる点を含め,その証言は信用できる。 2 被告人の精神障害が本件犯行に与えた影響等 ⑴ 被告人が本件犯行を決意したことへの精神障害の影響について検討する。 ア 関係各証拠によれば,被告人が本件犯行に至る事実経過は,次のとおりであ ると認められる。 被告人は,離婚後,平成17年12月頃に被害者がウイルス性脳炎を発症し,て んかん,重症の高次脳機能障害の後遺症が固定化して以降,デイサービスや訪問介 護等の支援を受けながら,被害者を介護し養育してきた。被害者は,重度の知的障 害を有しており,排便後の処理ができず,入浴等にも介助を要し,衣服の前後・表 裏の理解が不十分であるほか,押しピン等の物を口に入れたり,車道に飛び出した りするなどの衝動的な行動をとることもあり,誰かが常に目をかけてやる必要があ った。また,被害者は,被告人や当時同居していた被告人の母にかみつくなどの暴 力を含む粗暴行為に及ぶこともあった。 被告人は,長年患っていた強迫性障害の症状の悪化に伴い,うつ病の症状も 出現・増悪した。令和2年5月21日,兄に「何もかも全部終わらせたい」旨告げ, さらに,同月26日,約半年ぶりに主治医のクリニックを受診した際は,主治医によ ると「今までに見た中で一番心身が消耗している様子」だった。 また,被告人は,認知機能の低下が進む母と被害者の折り合いが悪く,ストレス を感じていたことなどから,同年6月頃,母方を出て同じマンションの別室に被害 者と二人で住むようになった。 被告人
主文(判決文より)
被告人を懲役3年に処する。 未決勾留日数中280日をその刑に算入する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。