事件の基本情報
| 裁判所 | 京都地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和2(ワ)1378 |
| 判決日 | 2023-04-26 |
| 分類 | 民事 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 民法415条、民法715条1項 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点 ⑴ 被告病院医師らの自殺防止義務としての自殺リスク評価検討義務違反(争点 1) ⑵ 被告病院医師らの無断離院防止義務としての情報共有義務違反(争点2) ⑶ 被告病院医師らの無断離院防止義務としての付添義務違反(争点3) ⑷ 上記⑴~⑶の各過失とEの死亡との相当因果関係(争点4) ⑸ 過失相殺等(争点5) ⑹ E及び原告らの損害(争点6) 3 争点に関する当事者の主張 ⑴ 自殺防止義務としての自殺リスク評価検討義務違反(争点1)について (原告らの主張) ア Eは、2月にインフルエンザに罹患した後、様々な身体症状を伴ううつ病 を発症し、9月には「木に登って飛び降りてやろうと思っていたがやめた」 旨述べたほか、舌を噛んで流血するなどして、K病院において希死念慮を伴 ううつ病と診断されており、自殺企図歴や自死リスクの高まり等の事情が記 載された診療情報提供書が作成された。 被告病院の入院後においても、Eは、原告Aに対して、複数回にわたり、 悲観的な発言をしていたほか、11月4日には、身体症状及び不安の増強が 見られた。 以上の経過からすれば、Eは、被告病院入院当初から自殺リスクが高いと うかがわれる状況にあったということができ、実際、F医師やG医師におい ても、本件事故後、被告病院のカルテに、Eが自傷行為に及ぶ危険性が否定 できない旨記載している。 イ その上で、一般に、自殺の危険性は変動するため、自殺念慮の評価や危険 因子(過去の自殺企図・自傷行為歴、うつ病を含む精神疾患等)の評価を継 続的に繰り返すことが重要であるとされていることを踏まえると、被告病院 医師らは、①Eの自殺念慮の有無を確認し、②過去の自殺企図歴、うつ病を 含む精神疾患の可能性、離院リスクの高まり、その他の危険因子に関する情 報を適切に収集し、③上記①、②の情報を踏まえて自殺リスクの評価検討を 継続的に行う義務を負っていたということができる。 しかるに、被告病院医師らは、①Eに対し、入院時から本件事故時までの 間、自殺念慮・希死念慮の有無の確認を行わず、②Eが、医療者に対して、 取り繕う傾向を認め、本心を秘めることも想定していたにもかかわらず、原 告Aから、Eの自殺念慮や自殺リスクに関する情報を聴取せず、③上記①、 ②の情報を踏まえた自殺リスクの評価検討を継続的に行わなかった。 (被告の主張) ア 精神科医療において、法的な自殺防止義務が認められるのは、患者に自殺 の具体的かつ切迫した危険が認められる場合に限られる。 患者に具体的かつ切迫した自殺の危険がない場合、医療機関が患者をどの ように管理するかは、医療機関の診療行為そのものとして、患者の精神症状 や治療効果を考慮しつつ、医療機関の裁量の範囲内で判断すべき事項である。 イ 本件において、Eは、被告病院入院後は、不眠の訴えは継続したもの
主文(判決文より)
1 被告は、原告Aに対し、1428万5153円及びこれに対する平成30年1 1月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は、原告Bに対し、467万0384円及びこれに対する平成30年11 月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は、原告Cに対し、467万0384円及びこれに対する平成30年11 月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告は、原告Dに対し、467万0384円及びこれに対する平成30年11 月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は、これを10分し、その7を原告らの負担とし、その余を被告の負 担とする。 7 この判決は、第1項ないし第4項に限り、仮に執行することができる。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。