事件の基本情報
| 裁判所 | 京都地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和4(わ)952 |
| 判決日 | 2023-07-26 |
| 分類 | 民事 |
| 判決文が挙げた条文 | 刑事訴訟法181条1項、刑法21条、刑法199条 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
本件の争点 本件の争点は責任能力の有無・程度であり、検察官は、犯行時の被告人は、犯行 が違法であると判断し、その行為を思いとどまる能力が著しく弱まってはいなかっ たと主張し、弁護人は、少なくとも同能力が著しく弱まっていた疑いがあると主張 する。 第2 当裁判所の判断 A鑑定人の報告によると、被告人は、統合失調症にり患しており、幻聴等の陽性 - 1 - 症状は改善傾向にあって、陰性症状は余り目立たないものの、認知機能の低下が一 定程度認められるとともに、重度のASDであったと認められる。 犯行動機は、被害者に同居を拒絶されたことに対する強い怒りであったと認めら れる。被告人は、令和2年以降、父の年金に依存して生活していたから、一人暮ら しをすることは現実的に難しい状況にあった。また、被害者が全く家事をしなかっ たため、家計のやりくりや被害者の世話を含む家事全般を被告人が一人で担ってお り、その点でも被告人が被害者を残して一人で暮らすことは非現実的であった。そ の上、犯行の翌月には多額の住宅ローンを返済しなければならない状況にあり、そ のことに対する不安も抱えていた。そのような状況の下、被告人は、3か月ほど前 から、被害者から頻繁に「出ていけ」、「掃除しろ」など理不尽な叱責を受け続け ていた。したがって、被告人が強い怒りを抱いたことには、現実の状況認識等も一 定程度影響していたと認められる。しかし、A鑑定人の報告によると、被告人は、 幼少期に両親が離婚した際に被害者と住むように決められた、家のローンを被害者 と二人で支払っているから被害者と同居するのは当然である、といった形式的な理 由にとらわれ、被害者との同居に強くこだわっており、そこには、被告人のASD 特性が表れていたと認められる。平素は大人しく被害者に従順であった被告人が、 被害者に強い怒りを抱いたことには、被告人のASD特性が比較的強く影響してい たと認められる。 また、被告人は、被害者を執拗に多数回殴打している。被告人は、その理由を被 害者からの反撃を防ぐためであったと供述しており、幼いころに被害者から受けた 暴力によって植え付けられた恐怖心を、その後も持ち続け、それが犯行態様に影響 したことは十分考えられる。しかし、その殴打回数は少なくとも46回と余りにも 執拗なものになっているのであり、そこには、A鑑定人が報告するとおり、常同的 な反復行動を好むというASD特性が強く表れていたと認められる。 しかしながら、被告人が強い怒りから、被害者の頭を金槌で叩きたいという欲求 を覚え、それを実行に移したことや、被告人が数十回叩いた後に一旦叩くのを止め - 2 - たものの、その後、被害者が生きていると考え、再び被害者を叩き始めたことは、 被告人自身の判断と選択であり、そこに対する精神障害の影響は限定的であった
主文(判決文より)
被告人を懲役7年に処する。 未決勾留日数中100日をその刑に算入する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。