現住建造物等放火被告事件

事件の基本情報

裁判所札幌地方裁判所
事件番号平成30(わ)329
判決日2018-10-12
分類民事
判決文が挙げた条文刑事訴訟法181条1項、刑法14条2項、刑法21条、刑法56条1項、刑法108条

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点に対する判断)
弁護人は,本件犯行当時,被告人は軽度精神遅滞及び飲酒の影響により,物事
の善悪を判断する能力,又はその判断に従って自分の行動を決める能力が著しく
低下していたとして,心神耗弱の状態にあったと主張する。そこで,当裁判所が,
被告人に完全責任能力を認めた理由を説明する。
1 前提となる事実
関係証拠によれば,以下の事実が認められる。
被告人は,平成29年11月に刑務所を出所した後,G(以下「本件アパ
ート」という。)の1階3号室に入居したが,同年末に本件アパートで発
生した火災の影響で1階2号室に転居した。
その後,被告人は,他の居住者等との間で,生活音や除雪時の対応につい
て複数回のトラブルが起きたことなどから,嫌がらせを受けていると感じ
るようになった。そこで,被告人は,上記火災の経験から,火事を起こせ
ば煙によって他の居住者らに嫌がらせをすることができるなどと考えるよ
うになった。
被告人は,平成30年2月10日,自室や外出先で缶チューハイを合計1
0本ほど飲酒し,翌11日午前0時頃に徒歩で帰宅した。被告人は,同日
午前0時過ぎ頃から,2階の居住者らが大きな音を立てていると思い,こ
れを止めさせるために,自室の冷蔵庫等を倒すなどして大きな音を立てた。
しかし,2階からの音が鳴りやまなかったため,被告人は,煙を立てて嫌
がらせをしようと考え,寝室の畳の上に灯油をまいた。その後,被告人は,
部屋を出るために下着等をかばんに詰めたり,部屋を荒らしたことはまず
かったと考えて畳の上に布団を置いたりした。そして,被告人は,ベッド
に腰かけて放火するかどうかをしばらく迷った挙句,結局,ライターで布
団に火をつけることとし,2回点火に失敗したものの,3回目の点火で布
団が燃えた。
被告人は火がついたのを確認してから自室を出て,間もなく帰宅したが,
炎が燃え上がっているのを見て,大変なことをしたと思い,そのまま逃走
した。その後,被告人は,警察署に出頭する踏ん切りがつかなかったもの
の,生活費がなくなったため,同月24日,警察署に出頭した。
2 I医師の供述の信用性
被告人の精神鑑定を行ったI医師(以下「I医師」という。)は,被告人に
は,軽度精神遅滞があり,その影響により,他の居住者らとの関係等について
適切に状況が把握できずにストレスをため,本件犯行当時,一時的に被害妄想
及び聴覚過敏の症状が出ていたほか,飲酒により単純酩酊の状態にあったとし,
本件犯行には,軽度精神遅滞を原因とする被害妄想及び聴覚過敏が影響したほ
か,被告人が元来有していた衝動性の高さや反社会的気質等も影響し,飲酒酩
酊により生じる気が大きくなって抑制が効かなくなるという一般的な作用も影
響したと考えられる旨供述している。
I医師の上記供述は,同医師の経験や能力,鑑定の手法や判断

主文(判決文より)

被告人を懲役6年に処する。
未決勾留日数中50日をその刑に算入する。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。