損害賠償請求事件

事件の基本情報

裁判所札幌地方裁判所
事件番号平成30(ワ)1352
分類民事
判決種別判決

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点
10 ⑴ 本件内定取消しの適法性
⑵ プライバシー侵害による不法行為の成否
⑶ 損害額
4 当事者の主張
⑴ 争点⑴(本件内定取消しの適法性)について
15 (被告の主張)
本件内定取消しの理由は,原告がHIVに感染しているためではなく,
原告が平然と職場にうそをつく人物であることから,信頼関係を築くこと
が困難であると判断したためである。
すなわち,被告病院は医療機関であり,従業員の医療記録に秘匿情報が
20 ある場合には,潜在的に内部拡散の危険があるため,コンプライアンス上
の問題として,拡散防止のための措置を講じなければならず,その前提と
して原告に質問して事実を確認しなければならない。
また,被告病院は,患者との接触がある医療機関であり,職員が認知症
患者等からの暴力により出血を伴う傷を負う事件は稀ではないことから,
25 感染の危険性が極めて高い場所であるといえる。そのため,原告のHIV
感染が事実なのであれば,被告としては,感染の可能性を可能な限り0%
に近付けなくてはならず,あらかじめ感染を防止するための対策を行わな
ければならない。
以上のとおり,従業員の一人がHIVに感染しているという情報は被告
にとって極めて重要な事実であり,原告がHIV感染の事実を申告しない
5 ことの必要性,許容性は認められない。それにもかかわらず,原告は,平
成29年12月25日の本件面接の際にうそをつき,さらに平成30年1
月12日に被告病院総務課職員から問合せを受けた際にもうそをついた。
このように,原告が職場にうそをつく人物であることから,被告は,原告
と信頼関係を築くことが困難であると判断し,本件内定取消しを行ったの
10 であって,本件内定取消しには合理的理由と社会的相当性があり,適法で
ある。
(原告の主張)
ア 一度使用者が採用内定を行った場合には,客観的に合理的な理由が存
在し,社会通念上相当として是認することができる場合でない限り,採
15 用内定は取り消すことができない。採用内定取消事由が認められる場合
とは,採用内定当時知ることができず,また知ることが期待できないよ
うな事実であって,これを理由として採用内定を取り消すことが解約権
留保の趣旨,目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当
として是認することができるものに限られると解される。被告は,原告
20 が病気に関する質問に対して正確に回答しなかったことを理由に本件内
定取消しを行ったが,本件では,以下のとおり,採用内定取消事由があ
ったとはいえない。
採用内定当時に知り得た事実とはいえないこと
原告がHIV感染者であるという事実は,被告病院が保管する原告
25 の医療記録に記載されていたにすぎず,当該事実は労務管理や採用目
的等の他目的に利用してはいけない事実である以上,採

主文(判決文より)

1 被告は,原告に対し,165万円及びこれに対する平成30年2月5日から
支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
5 3 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担
とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。