事件の基本情報
| 裁判所 | 札幌地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 平成30(ワ)1206 |
| 判決日 | 2020-05-29 |
| 分類 | 民事 |
| 判決種別 | 判決 |
| 判決文が挙げた条文 | 国家賠償法1条1項、民法709条 |
この事件の代理人
判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。
争点(判決文より)
争点 (1) 被告aに対する請求の当否 損害の発生及び額 (2) 被告国に対する請求の当否 ア 国家賠償法上の違法性の有無 イ 損害の発生及び額 4 争点についての当事者の主張 (1) 争点(1)(被告aに対する請求の当否──損害の発生及び額)について (原告の主張) ア 物的損害(眼鏡) 6万9800円 本件暴行により破損した眼鏡は原告が6万9800円で購入したもので あって,この額が原告に生じた物的損害の額となる。 イ 将来治療費 40万0000円 原告の前歯は本件暴行により折損し,治療の過程でこれを根元から抜去 した。当該部分を根本的に治療するためには,出所後にインプラント治療 を受けなければならず,その費用は40万円と見込まれる。 ウ 慰謝料 50万0000円 原告は,何ら落ち度がないにもかかわらず,被告aから一方的に本件暴 力を受け,傷害を負ったものであって,原告の上下口唇に裂傷等が生じて 食事や会話がしにくくなり,また,精神的衝撃も大きく,日常生活に負担 が生じていることなどからすれば,原告の受けた精神的苦痛を慰謝するに は,50万円を下回らない慰謝料を要する。 - 3 - エ 弁護士費用 10万0000円 原告は,本件暴行について訴訟提起を余儀なくされたのであって,その 訴訟追行に必要な弁護士費用は,被告aに対するものとしては10万円が 相当である。 (被告aの主張) 原告の眼鏡が破損した事実は認めるが,当該眼鏡を原告が6万9800円 で購入したとの事実については知らず,この額が物的損害の額となるとの主 張は争う。 また,原告の前歯については,ブリッジや入れ歯による治療なども考えら れるのであって,インプラント治療の必要性を争う。 さらに,原告の主張する慰謝料額については,高額に過ぎる。 (2) 争点(2)ア(国家賠償法上の違法性の有無)について (原告の主張) 刑務官は,刑務所の被収容者である受刑者の生命や身体に危険が生じない よう配慮する注意義務を負っている。しかるに,刑務官A及びBは,本件暴 行の状況を確認し,それを制止し得る唯一の立場であったにもかかわらず, 口頭で中止を指示したのみで,本件暴行を実力で制止しなかったのであるか ら,上記注意義務を怠ったもので,国家賠償法1条1項の適用上違法である。 この点につき被告国は,刑務官A及びBが被告aに有形力を行使した場合, 収拾困難な事態に陥るおそれがあったと主張するが,他の受刑者は本件暴行 に際してその場で事の行方を傍観していたにすぎず,被告a又は原告に加勢 したり,興奮したりしていたものではなかったのであって,上記のおそれが あったとはいえない。 (被告国の主張) ア 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(以下「刑事収容施設 法」という。)77条1項は,被収容者が他人に危害を加える
主文(判決文より)
1 被告aは,原告に対し,62万円及びこれに対する平成 29年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員 を支払え。 2 被告国は,原告に対し,11万円及びこれに対する平成 29年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員 を支払え。 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,原告に生じた費用の3分の2と被告aに生 じた費用全部の合計につき,その5分の2を原告の,5分 の3を被告aの各負担とし,原告に生じた費用の3分の1 と被告国に生じた費用全部の合計につき,その5分の4を 原告の,5分の1を被告国の各負担とする。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。