事件の基本情報
| 裁判所 | 札幌地方裁判所 |
|---|---|
| 事件番号 | 令和2(わ)387 |
| 判決日 | 2020-09-14 |
| 分類 | 民事 |
| 判決文が挙げた条文 | 刑事訴訟法181条1項、刑法19条1項2号、刑法21条、刑法54条1項、刑法130条 |
この事件の代理人
- 大鹿 祐太郎(検察官)/札幌弁護士会
争点(判決文より)
争点に対する判断) 1 争点 本件では,被告人が被害者の右目付近を手拳で殴打し,転倒して仰向けになっ た同人に馬乗りになったかについて当事者間に争いがある。 2 被害者証言 ⑴ 被害者は,①ブース内で現金装填作業中,ATM機裏側部分の前に立ってい たところ,背後に人の気配を感じ,左後方に体をねじって振り返った瞬間,い きなり右こめかみ付近を硬いもので殴られた,②その人影にタックルをして壁 にぶつけた反動で仰向けに転倒したところを犯人に馬乗りされ,その胸元を両 手で引き付けると,スタンガンを右腕に2回押し当てられ,続いて右腰及び右 太ももにも押し当てられた旨証言する。 ⑵ ①についてみると,被害者は,振り向きざまに頭蓋骨に響き渡るような強い 衝撃があったと具体的に説明しており,犯人から受けた最初の攻撃であって特 に印象に残りやすい出来事でもあることから,勘違いが生じるとは考えにく い。その上,被害者の右目の目尻付近から右頬骨辺りに見られる皮下出血の程 度が重いこととも整合する。 なお,この皮下出血には出血量が多い部分が2か所あることなどから,F医 師は,平坦なものではなく,凹凸のある手拳で殴られて生じた可能性が高いと 証言する。証拠上,他の方法や機会により生じた現実的な可能性は想定し難い ことも踏まえれば,その証言どおり被害者は手拳で殴られたと認められる。弁 護人は,前記皮下出血は手拳によるものとしては不自然であるというが,手拳 のどこが当たったのかはっきりしない以上,不自然さを見出すことまではでき ず,採用できない。 ⑶ ②についてみると,被害者は,このときの状況として,大きなビビッという 音を聞き,青白い光を放つスタンガンが見え,約30本の針で刺されたような 痛みを感じたなどと,自らの五感を通じた特異な体験を具体的に語っている。 また,被害者の電撃傷は,右前腕の外側に2か所存在し,いずれも11ミリメ ートルの間隔がある2つの電極を腕を横断する方向に押し当てられて生じたと 認められるが,被害者が証言する体勢で犯人が左手に持つスタンガンを2回押 し当てたものとして整合する。 ⑷ そして,①及び②は短時間のうちに生じた一連の出来事であって,他の場面 の記憶と混同した可能性は想定し難く,その後犯人を取り押さえるまでの場面 とは異なり,その供述内容に捜査段階からの変遷は認められない。また,被害 者があえて虚偽の事実を述べているとする根拠も見当たらない。 そうすると,少なくとも,犯人に初めに殴られてからスタンガンを押し当て られるまでの被害者の証言は,被告人が利き手でない左手を用いて殴ったりス タンガンを使ったりしたことになる等の弁護人の指摘を踏まえても,高い信用 性がある。 3 被告人供述 他方,被告人は,①被害者を殴りつけたことはなく,被害者がタックルして きたと
主文(判決文より)
被告人を懲役6年に処する。 未決勾留日数中30日をその刑に算入する。 札幌地方検察庁で保管中のスタンガン1個(同庁令和2年領第70 8号符号7-2)を没収する。
出典
本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。