損害賠償請求反訴事件

事件の基本情報

裁判所札幌地方裁判所
事件番号令和2(ワ)2361
判決日2022-03-16
分類民事

この事件の代理人

判決文から代理人弁護士を特定できていません。判決文に代理人名が記載されない事件も多くあります。

争点(判決文より)

争点及び争点に関する当事者の主張
⑴ 本件発電所に発電量を一極集中させた過失等の有無
(反訴原告の主張)
脱退前被告には、本件発電所に近接した地域で大規模な地震が発生した場
合に、ブラックアウトが発生することを防止するため、本件発電所における
発電量を90万kW以下に抑えて運転し、不足分を他の火力発電所及び水力
発電所による発電により賄い、あるいは、本件発電所の発電機の停止に備え、
揚水発電所である京極水力発電所を稼働させておくべきであったのに、これ
を怠った過失がある。
その根拠は次のとおりである。
ア ブラックアウトの発生を防止するための対策をとることは電力会社であ
る脱退前被告の義務であること
脱退前被告は、北海道全域に電気を供給する電力会社として、電力を安
定的に供給する責務を負っている。ブラックアウトは、北海道経済全体に
極めて重大な影響を及ぼすことから、電気の需給バランスが崩れることに
よる周波数変化によりブラックアウトが発生することを防ぐために、あら
かじめ十分な検討と対応措置をとる義務を負っていた。
イ 本件発電所に近接した地域で大規模な地震が発生した場合に、ブラック
アウトが発生し得ることを予見できたこと
本件発電所は、石狩低地東縁断層帯南部に極めて近接しており、地震
の発生リスクが高い状況にあったことからすれば、本件発電所に近接し
た地域で大規模な地震が発生する可能性は容易に認識することができた。
また、東北地方太平洋沖地震、十勝沖地震などの過去の地震において、
発電所単位で全ての発電機が停止した例が多数あったこと、地震動によ
る発電機損傷の可能性に加え、本件発電所の2号機及び4号機には、強
い地震動を感知した際、タービン保護のため自動的に停止するシステム
が備えられていたことからすれば、本件発電所に近接した地域で大規模
な地震が発生した場合に、本件発電所の全ての発電機が停止する可能性
があることは、容易に認識することができたといえる。
これに加え、本件地震当時、本件発電所の発電量は、北海道全体の4
8%を超えていたところ、北海道は、電力系統の孤立性が高く、他の地
域から電力の融通を受けづらい環境にあり、また、電力系統の規模が小
さく、周波数の変動を生じやすいという脆弱性を抱えている。これに加
え、電力網が道央エリアを中心として、道北、道東及び道南の各エリア
に放射状に延伸される構造となっており、道央エリアと道北等の各エリ
アとの接続が分断されると、各エリアが孤立した電力系統となることを
も考慮すると、1号機、2号機及び4号機の同時停止により、ブラック
アウトを生じる大きな周波数低下が起きることを想定することができた
といえる。

主文(判決文より)

1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

出典

本ページは裁判所が公開する判例データに基づいています。